いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



クダンの話をしましょうか (MF文庫J)

「クダンの話をしましょうか」内山靖二郎MF文庫J
クダンの話をしましょうか (MF文庫 J う 3-5)

夜の駅前広場の片隅で、小さな机を出して占いをしている制服の少女――クダン。 高校一年生の直辰が、最近様子がおかしい幼なじみのつぐみのあとをつけて初めて降りた駅の前で見たのは、おとなしい性格から想像すらできなかった派手な服に着替えたつぐみが、転校生のクダンと口げんかをしている姿だった。直辰は思わずつぐみに声をかけるが、つぐみは自分をヌエと名乗り、直辰のことも知らない人だと突き放す。いったい、彼女に何が起こり始めているのだろうか……? クダンの“予言”を巡って少女たちが織り成す、切なくてやさしい物語。

電撃文庫ではよく見られる切なくてやさしい短編連作。MJ文庫Fでは珍しい?
人の災いを予言できるが、それをその人に伝えるとその人の記憶から消えてしまうという能力を持った少女クダンの物語。


幕間がいい!
もちろん本編あっての幕間だけど、たった10×2ページの中にこの作者らしさがぎっしり詰まっていて非常に面白い。


本編はやさしさよりも切なさ強め。
クダンがやさしさ見せたとき=別れの時という事実と、それによってどうしても別れがチラつく友情が、少し無愛想なクダンの姿をどうして彼女がこういう性格なのかを想像させてもの悲しい雰囲気を醸し出している。それでもなお心で泣きながらやさしさを見せるクダンの姿に切なさがこみ上げる。
幕間は一転して明るい雰囲気。
本編では感じられないクダンの生活感や普通の女の子らしい姿を出して、コミカルな話になっている。また本編の後日談をほんのり匂わせたり細かい設定を入れたり、1つたった10ページだがその使い方が上手い。
シリアスな本編とコミカルな幕間のバランスが絶妙で、非常に読後感のいい作品だった。


〜おまけでツッコミ〜
特売でもやし一袋18円ってどこの高級もやしですか(^^; もやしは通常でそのくらいのお値段(ちなみに我が家がよく使うスーパーは常時一袋9円)それに中華スープの素は結構値が張るもので、お金がないときは買うのを躊躇うもの。貧乏の描写には向かんでしょう