いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

「〈本の姫〉は謳う1」多崎礼C★NOVELS ファンタジア)
〈本の姫〉は謳う 1 (1) (C・NovelsFantasia た 3-2)

「滅日(ホロビ)」により大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在――文字(スペル)。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字(スペル)を探し回収するために、〈本の姫〉と旅を続けている。ある日、無法者たちから救い出した少女に、文字(スペル)の気配を感じた彼は――。

煌夜祭」の多崎礼さんの2作目は正統派冒険ファンタジー。現在(人間の世界)と過去(天使の世界)が同時進行で展開する。


練りに練られた世界観が凄い!
現在の話も過去の話も何の説明もなく始まるので、初めは頭に「?」がいっぱい浮かぶが、そこから徐々に明らかになっていく世界の成り立ちやキャラクターの生い立ち、またそれらが明らかになっていくにつれてリンクしていく現在と過去など内容を理解していくほどに面白くなっていき、いつの間にか物語に引き込まれて夢中になっていた。この展開力には脱帽。まだ1巻ということで「煌夜祭」のような驚くような仕掛けはなかったけど、物語に引き込む筆力は流石の一言。
また今作は「煌夜祭」には薄かったキャラクター性とコミカルな部分がプラスされていて、2巻以降も前作以上に楽しめそうな予感がする。
あとがきによると既に全4巻が書きあがっているようなので、間を置かずに続きが読めそうなのが嬉しいかぎり。