いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖野村美月ファミ通文庫
“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫 の 2-6-6)

『悪い人にさらわれました。着替えと宿題を持って、今すぐ助けに来てください』――そんな遠子からのSOSで、夏休みを姫倉の別荘で“おやつ”を書いて過ごす羽目になった心葉。だが、そんな彼らに、八十年前起こった惨劇の影が忍び寄る。“令嬢”“学生”そして“妖怪”。役者は揃い舞台は整い、すべては再び崩壊に向かう。事態を仕組んだ麻貴の望みとは? 自らの“想像”に心を揺らす、“文学少女”の“秘密”とは――。夢のようなひと夏を描く、“文学少女”特別編!

今回は麻貴の家(姫倉家)の“血”の話。4巻(穢名の天使)ほどではないけどかなり重めのサスペンス。・・・前巻のあとがきで軽めの内容って書いてなかったっけ? 時系列では2巻の後。


今回も素晴らしいの一言。最後まで読みきった時の驚きは過去最高!
メインはいつも通りの愛憎劇だけど、今回特筆すべきは遠子先輩と手紙。
登場キャラが少ないせいか遠子先輩の描写が多くて濃い。持ち前の自由奔放さで場を和ませてくれるのはもちろん、幽霊を怖がったり心葉に甘えるいつも以上に幼い姿に頬が緩み、逆に時折見え隠れする本音に胸を締め付けられる。可愛いらしい姿と触ったら壊れてしまいそうな儚い美しさを見せ付けられてもうメロメロ。
それ以上に印象的なのが手紙。
いつもは演出&ミスリードに使われる手紙だけど、今回はそこに+αの要素が。手紙の主にも驚かされたが、その内容はさらに強烈。たった2ページちょっとなのになんだこの情報量と破壊力は。
さて、手紙部分を読み返して泣けるほど切なくてちょっと優しい物語に思いを馳せつつ、次を待ちますか。