いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)

“文学少女”と神に臨む作家 上」野村美月ファミ通文庫
“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫 の 2-6-7)

「わたしは天野遠子。ご覧のとおりの“文学少女”よ」――そう名乗る不思議な少女との出会いから、二年。物語を食べちゃうくらい愛するこの“文学少女”に導かれ、心葉は様々なことを乗り越えてきた。けれど、遠子の卒業の日は迫り、そして――。突然の、“文学少女”の裏切りの言葉。愕然とする心葉を、さらに流人が翻弄する。「天野遠子は消えてしまう」「天野遠子を知ってください」――遠子に秘められた謎とは? 心葉と遠子の物語の結末は!? 最終編、開幕!


この作品を途中で止められるのは精神衛生上よくないですね。


最終章はついに遠子自身の話。そして手紙は遠子の母のもの。
ミステリ要素、手紙でのミスリードなし(おそらく)で余分な事を考えさせてもらえないので、哀の感情も負も感情もダイレクトに伝わってくる。内容が内容なだけにこの引き込み力は脅威。明かされる遠子のキズと心葉の井上ミウというキズがグサグサと心葉と読み手の心をえぐる。その冷たさと透明感のある鋭さは鋭く尖った氷柱のよう。
本当はななせかわいいよななせとか軽口をたたきたいのだけど(実際に少し素直になったななせはそれはもうめちゃくちゃ可愛いのだけど)、彼女の健気さと必死さすらも心葉や遠子のことを考えると胸が締めつけられる。
心葉共々打ちのめされた。は、早く処方箋続きを・・・