いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



幽式 (ガガガ文庫)

「幽式」一肇(ガガガ文庫
幽式 (ガガガ文庫)

いるのかいないのか誰もが定義できない幽(かす)かな存在──亡霊。皇鳴学園高等学校一年、渡崎トキオはヘタレなうえに霊体験皆無のオカルトマニア。そんな彼の呑気な日常は、奇人にして美貌の転校生・神野江ユイと出逢ったことから揺らぎ始める! 神野江は言う――「すべてが、逆なのだわ」。赤く染められた部屋、口にすると憑かれる言葉……この世にひそむ“幽かなもの”を次々と暴く神野江ユイに圧倒されながら、トキオが最後に辿り着いた彼岸の真実とは──? 新感覚学園オカルティックホラーここに登場!


んー、なんというか「おおぉぉぉー・・・へ?」って感じ(わからんてw


ライトノベルでは珍しい(と思う)真っ当なホラー作品。
おどろおどろしい情景描写もビビリの主人公の心理描写も上手く、徐々に狂気じみていく物語に恐怖感を憶えながらも何故引き込まれる。それに独特な挿絵も相まってホラーらしいいい雰囲気を醸し出している。やっぱホラーはビジュアルも大切だわ。
ところが、最後の最後だけ突如ライトノベルだという事を思い出したかの様に青春小説になる。こういう甘い終わり方そのものは好きだが、それまでの流れでこれは完全に浮いてる。編集が結末だけ無理やり捻じ曲げたんじゃないかと邪推したくなるくらい浮いてる。
文章のホラーがいまいちピンとこない自分でも恐怖感、緊張感を味わえたのだから良作だと思う。それだけに、どんな終わり方でもいいから最後までホラーを貫いて欲しかった。