いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



星図詠のリーナ (一迅社文庫)

星図詠のリーナ」川口士一迅社文庫
星図詠のリーナ (一迅社文庫)

「わたしが歩いた道を、見たものを、描いていくの。これは、わたしの地図」

父である国王の命を受け、辺境へと地図作りの旅に出た賢く若い王女「リーナ」と護衛の騎士たちは、正体不明の一団の襲撃を受け壊滅の憂き目にあったところを、流れの傭兵「ダール」に助けられる。
何があろうとも任務を全うしようとするリーナと臨時護衛に雇われたダールは、妖魔をかわし、夜盗を退け地図作り旅を続けていく中で宮廷の陰謀を掴むのだが、時を同じくして辺境の迷宮に眠っていた強大な何かが目覚める……。
正統派ファンタジーの新鋭が贈る「本格マッピング・ファンタジー


前半と後半で印象のガラッと変わる作品も珍しい。
前半は妨害や後半に向けての伏線などもあるが基本的には町の探索と地図のための測量で、はっきり言って地味。地味なのだが、なんだろうこのわくわく感。
小学生の時、風邪をひいて家で寝ながらNHK教育を視ていて「たんけんぼくのまち」*1に出くわした時の嬉しさを思い出した。
リーナが仕事ではなく趣味で描く地図はまさにチョーさんの地図。白地図がイラストで埋まっていくワクワク感は、他では味わえない楽しさだった。
後半は一転、剣と魔法と竜が出てくる王道ファンタジー
前半とのギャップに面喰ったが、特に何の能力も持たないのにどんな危機的状況でも前を向くリーナの姿勢が読んでいて気持ちがいい。ただ戦闘地の情景描写と肝心の竜の描写がいまいちで、どんなところでどうやって戦っているのか想像しにくいのが玉に瑕。
前半も後半もそれぞれに良かった。どちらかというと前半の地味な方が好みかな。
2巻が出るようなので今から楽しみ。
地図なら軍事目的でも話を広げられるなーとか勝手な妄想が膨らんでいたり

*1:昔、NHK教育に「たんけんぼくのまち」という番組があった。特に面白くもない○年生の算数や○年生の理科などの番組の中で3年生の社会であるこの番組は違った。他とは一線を画すコミカルなストーリーにチョーさんといううっかり者のキャラクター、そして何より番組の最後にチョーさんの描くイラスト地図が魅力の番組だった。