いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ペンギン・サマー」六塚光(一迅社文庫)

ペンギン・サマー (一迅社文庫)
ペンギン・サマー (一迅社文庫)

幼なじみの相馬あかりに付き合わされて、街に古くから伝わる伝説「クビナシ様」を探すため、近所の「白首山」へ登る羽目になった東田隆司。
しかし。
街で暗躍する謎の秘密結社「赤面党」。一部でささやかれる、白首山に眠るという埋蔵金の噂。そして、ペンギン……。様々な要素が絡みあい、事態は思わぬ方向へ……。
そんな、ひと夏のトンチキな物語。


街に伝わる伝説の話に始まってSFが混じって「なんじゃこりゃ、なにがしたい?」と思ったがなかなかどうして。
一見無秩序に置かれた事実の数々が、色々な視点で紡がれる白首市の夏休みの一幕を追うことで少しずつ繋がっていく展開で、「これはもしかして?」と考えを巡らせられるのが楽しい。そして徐々に見えてくる伝説の真実は見本が無いジグソーパズルのピースが綺麗に収まっていくような気持ちよさ。
ただ、ライトノベルとしては少し物足りない気も。
もう少しキャラの掘り下げが欲しい。せめて二人がどの程度の関係かの記述は欲しかった。後はどう考えてもいらない戦闘シーン。シュール過ぎてそれまでの流れに全くそぐわない。
ライトノベルとしてはどうかなと思うところはあるけど、読み物としては面白かった。