いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店6」御堂彰彦(電撃文庫)

付喪堂骨董店〈6〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
付喪堂骨董店 6―“不思議”取り扱います (電撃文庫 お 9-9)

アンティークを憎み、世界から根絶させるため、アンティークの力を振るう駿と飛鳥。その力に振り回されることなく完全に使いこなす駿は、異質な存在でした。
想いは同じでも、刻也はその考えに反発し抗います。アンティークの力を使いこなす者同士の戦いは熾烈を極め、それは触れてはいけない過去をも引きずり出すのでした。
刻也と咲はいかにして出会ったのか? そこに隠されたアンティークの秘密とは? 二人の運命は大きく動き出します。本当の彼らを知る勇気がある方は、どうぞご覧ください。

5巻第一章に出てきた敵?の目的、そして咲の過去が明らかになる6巻。


ついにこの時が来てしまったか。
最近の甘々な雰囲気で忘れてたけど、シリーズの初め頃に匂わせていた咲の秘密は何一つ明かされてなかったんだよな。
そんなわけで今回は今までのような連作短編形式ではなく続きもので、かつ第四章のお約束もなしとこれまでと雰囲気が一辺。シリアス、ドシリアス。
それにしてもこの作品でこれほどまでの緊張感、焦燥感を味わうことになろうとは。
この緊張感は物語が核心に近づいたこともあるけど、今まで他人事から完全に自分達の事に変わったのも大きな要因なんだろう。焦燥感はもちろん刻也。赤の他人でも感情的になる彼が咲のことなって激しくなるのは必然。いつも以上に焦りや怒りがダイレクトに伝わってくる。
後は咲の抱えていた過去に驚いた。もっとアンティーク寄りで死に直結するようなものだと想像していたので、予想外にリアリティのある暗部に嫌な重さを感じた。
可愛い咲も甘い読後感も楽しめなかったのは残念だけど、これまでで一番読み応えと早く続きが読みたいという思いにさせられる6巻だった。
次が最終巻。
今までいくつものアンティークを持った者の末路を見せられてきただけに不安は拭いきれないが、二人は最後には幸せを掴んでくれるものと信じている。もう一度あの可愛い咲ちゃんを見たい!