いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「迷宮街クロニクル (3) 夜明け前に闇深く」林亮介(GA文庫)

迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (GA文庫)
迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (GA文庫)

それは迷宮内部の写真から起こした商品スケッチだった。探索者なら一度は目にしたことがある、第一層濃霧地帯の奥にある縦穴のものだ。
その図には後藤が売りたい商品が描かれていた。天井に滑車が据え付けられ、鎖が吊るすのはゴンドラだ。
後藤のアイディアは画期的なものだった。リスクを減らし第四層まで一瞬で移動できる。迷宮内部でのみ産出される不思議な石が金属の強度を高めることも判明し、探索の効率を向上させるように思われたが……。
生まれる希望と、同じだけの絶望。迷宮街での生活は、ゆっくり何かを蝕み、静かに壊してゆく。
好評の書き下ろし短編も収録した群像劇、第三弾。


まさに嵐の前の静けさといった感じだった。
正月休みの緩い空気で始まり、その後もその流れを汲むような静かな展開の中で、迷宮街内外のあちこちに漂う不穏な空気。それのどれもこれもが死亡フラグのような気がしてしまうのは、ある意味この迷宮街に毒されているのかも。
次でラストか。登場人物が多くそれぞれに人間模様があるので、色々と気になることは多いが、誰が死ぬのかと啓一回りの人間関係はどうなるのかが興味の中心。ただ、啓一が笑っているラストは想像できないんだよなぁ・・・。



以下各キャラ毎一言(ネタバレ含む)


真壁啓一
彼の人となりを端的に表した書き下ろし短編は、2巻までなら笑える話だったんだろうけど3巻を読みきってからだと少し複雑。


笠置町
今回はビックリするほど存在感が無かった。そしてビックリするほど女の子だった。


笠置町
いつも以上に姉と自分の違いについて考えているシーンが多いような。表向きは穏やかだからか。
それにしてもチーム笠置町のピンチがさらっと流されたことは意外だった。


真城雪
やっぱ彼女は外面は猫だけど中身は犬だよな。
セリムとのシーンは悲しいシーンではあるが、妙にしっくりくる組み合わせで印象的。


越谷健二
この人もか・・・。
最も、というか唯一の“いい男”だった気がする。


神田絵美
主役か?と思うほど神田さん視点が多かったのに、本人が何をしてたかほとんど印象に残っていない。不思議な人だ。


津差龍一郎
ひーっ ばけものだーw


後藤誠司
この人風体はごついけど、イメージはスマートな蛇なんだよね。


峰えりか
こんなにじゃじゃ馬だったのか!


神野由加里
待つ人の象徴として描かれているので切ないシーンばかり。いい娘なだけに泣ける。


奥野道香
大事な友人(由加里)のために啓一の悪い点だけを並び立てるのは正攻法で理解は出来るが、突っ込みすぎ、由加里を信用していない点を含めて感情的には気に入らない。
他にも好きになれないキャラはいるがこの子が一番嫌い。いや苦手か。


もう一度
真壁啓一
この男が幸せになるエンドがどうしても想像できない。
本人が死ぬか、全てを失って迷宮街に戻ってくる背中はありありと想像できるのだが。でもそうすると翠が・・・。