いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「空色パンデミック (1)」本田誠(ファミ通文庫)

空色パンデミック1 (ファミ通文庫)
空色パンデミック1 (ファミ通文庫)

「見つけたわよ、ジャスティスの仇!!」「……はい?」高校受験の朝、駅のホームで僕はその少女と出逢った。彼女──結衣さんは"空想病"。発作を起こすと正義の使者とかになりきってしまうらしい。以後なぜか結衣さんは何かにつけ僕の前に現れる。空騒ぎに付き合ってられない。最初はそう思っていた。彼女を守るため世界を敵にまわして戦うことになるなんて、思いもしなかった──。えんため大賞優秀賞受賞、狂騒と純真の「ボーイ、ミーツ、空想少女」。

空想病。発作を起こすと自分の妄想こそが現実世界だと思いこんでしまう病気。一部の患者には周りもその世界に取り込んでしまう影響力まで保有している。その病気に漫画・アニメ好きが罹れば当然・・・。
そんな空想病患者の結衣と極々普通の高校生の景によるボーイミーツガール。


これはやられた。
そのオチは想像してなかった。
二人の未来を想い切なくなったり、主人公の精一杯の頑張りに胸を熱くした感動を返せ!w
若干の言い様の無い怒りと心地いい脱力感とやられた感、それと幸福感が味わえるいいエピローグだった。
そこまでに到るストーリーもなかなか。
空想病がなくても突拍子がなくわがままな結衣と、そんな結衣に振り回されながらも彼女の純朴さや傷に触れて段々と惹かれていく景の様子が微笑ましかったり切なかったり。
そんな二人を差し置いて存在感を放っているのが新しいタイプの男の娘 青井くん。登場時のインパクト、景との距離感、カミングアウトの方法とタイミング、全てがあざとい・・・悔しいが可愛いw
面白かった。病気の設定上、中二病セカイ系の色は濃いけど、そういう素養がなくても割と楽しめるボーイミーツガールだと思う。


この終わり方でどう続くのだろうか。綺麗に終わっている上に、1巻でこのオチを使ったら2巻以降何が来ても驚きはなくなりそうなんだが。そもそも結衣はもう簡単には外に出られなくなるはずでは。
やっぱ真ヒロイン青井くんのターンか?