いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「レーシング・ガールズ」色川地球王(トクマ・ノベルズEdge)

レーシング・ガールズ (トクマ・ノベルズEdge)
レーシング・ガールズ (トクマ・ノベルズEdge)

そこそこ人気のあったアイドルタレント篠原菜月は、事務所の社長にオートレースの選手として売り飛ばされてしまう。売り上げ減少に悩んだオートレース業界は、危機打開のため女子レーサーを育成する「オートレーサー萌え化プロジェクト」を立ち上げたところだった。鬼教官の激しいしごきのなか、つぎつぎと脱落していく美少女たち。そして最後に残ったのはオート・オタクの九州美人・絵梨佳と、ロードレースの世界で活躍した経験のあるクールな涼葉、そして菜月の三人だった。はたして彼女立ちは絶滅寸前のオートレースを救うことができるのか?!
美少女とオートレースというバカバカしくも奇妙なマッチングで、超マイナーなスポーツ業界再生を描く熱血美少女スポコン青春小説。

あらすじはweb版の方で


新人賞で荒削りといえば聞こえはいいが、これはいくらなんでも粗が目立ちすぎだろう。
メインの3人はそれぞれにキャラが立っているし、彼女達がぶつかりながら成長していく姿は王道のスポ根で、燃えて感動できる・・・はずだった。
しかし、その周りがあまりにも酷かったのでそちらにばかり気が入ってしまって全然楽しめなかった。
スポ根として読み応えのあるところもあったし、オートレースへの思い入れも感じたが、結局一番強く感じたのは脇役の稚拙さへの憤りだったという残念な作品。



以下酷評文句
とにかく脇役作りと話の展開のさせ方が下手。
話の内容として反対し妨害してくる人間がいるのは当然なのだが、子供染みた直接的な嫌がらせばかりで搦め手を使ってくる人はいないし、感情優先で道理の通った物言いをする人もいない。出てくるのは短絡的で子供(ガキ)みたいな大人ばかり。中でも味方であるはずの杉崎は、冒頭の詐欺まがいな手口とあまりの無能さで彼女達の努力を踏みにじっていく様子に、彼は味方の振りをした敵でどこかで掌を返すんだろうと思っていた。最後までそんなことは起きなかったが。
そんな脇役達によって進められる話は展開のさせ方が不自然/強引/幼稚な手口ばかり。加えて小悪党と馬鹿に彼女達の努力と根性の物語をちょっとずつちょっとずつ汚されていく様子は読んでいて段々とイライラしてくる。これが大物の悪役がいて徹底的に叩き落してくれればスポ根ものとしてもっと燃えたはずなのに。
こんな小学校のイジメみたいなものでは感動もくそも無い。