いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「つぎはぎ勇者の衣装係」古戸マチコ(イースト・プレス)

つぎはぎ勇者の衣装係 (レガロシリーズ)
つぎはぎ勇者の衣装係 (Regalo)

虹色のTシャツの上には真っ赤なボレロ。スパンコールが散りばめられたショートパンツに虎柄のタイツ。「壊れたフランス人形」と形容されるマユコは、壊滅的なファッションセンスの持ち主。
そんなマユコの目の前に、ある日勇者が降ってきた!?
異世界から逃げた魔王を追ってきた勇者・小太郎の魂は、運悪くマユコの持っていたウェディングドレッシィ(ウェディングケーキの人形)に乗り移ってしまう。小太郎が人間の姿に戻れるのは真夜中だけ。しかし衣装はウェディングケーキのまま・・・・・・ 。
「こんな服じゃ魔王と戦えない! 私が小太郎に最強の服を作ってあげる!」
マユコは小太郎のために、自ら衣装係を買って出るのだが――。


これはひどい出オチwwwと思って読み始めたら、まさかそのままのテンションで最後まで行くとは。いやー笑った。
猛虎魂10%関西のおばちゃん魂90%のような主人公のマユコを筆頭に、どこか残念(誉め言葉)な手芸部の面々+ヘタレ勇者が送るドタバタコメディ。笑わせどころが独特で、身構えていても思わぬところでボケられるので笑ってしまう。それぞれに悩みなども出てきたりもするけれど、笑いという明るさでスカッと吹き飛ばしてくれる。
その中で涙を誘うのが一人哀愁漂う魔王。
破天荒なマユコと勇者の相手をして、悩み相談もして、お弁当を作って縫い物もして・・・・・・唯一の常識人でだったばっかりにあんな気苦労を。魔王さん、本当にお疲れ様でした。でも貴方が一番目立ってました。というか主役でした。
あらゆるところが笑いどころで、でも少年少女が成長する話でもあって。とにかく面白かった。