いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「とある飛空士への恋歌4」犬村小六(ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)
とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)

「大好きだから……さよなら」級友の死に苛まれていたカルエルとクレアは、想い出の湖畔で思いがけず再会する。お互いの気持ちを確かめるため、正体を明かしたカルエルだったが、クレアには別れを告げられてしまう──。一方「空の一族」との戦いで多くの仲間を失い、疲弊した飛空科生徒たちは、悩みと苦しみを抱えたまま、再び決戦の空へ向かうこととなる。仲間の思いを受け継ぎ、潰滅の危機に瀕している大好きなイスラを、大切なひとを守るために……。超弩級スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、驚天動地のクライマックスに突入!!


ついに来てしまったお互いの正体を知る時。


痛い。辛い。
やっとの思いでつかんだほんのちょっとだけの幸せを押し殺して、心を凍らせるクレアがあまりに痛々しい。彼女視点の時はすべて悲鳴が聞こえているようで、まともに読んでいられない。
それに比べてお子様バカ皇子は・・・殴りてえ。これまでも散々イライラさせられてきたけど、今回が最大級。
イグナシオの行動で少し胸がスッとしたけど、まだ足りない。最後に覚醒してどれだけのことをしたとしても、まだまだマイナス。あー、この怒りどうしてくれよう。
さて、そんなバカ皇子のことはほっといて、今回の見所は圧巻の空戦。
弩級戦艦同士の撃ち合いの仕組みと戦闘機の役割を軸に語られる空戦は、スケール、迫力、スピード感、どれをとっても文句なしで、死と隣り合わせの緊張感がひしひしと伝わってくる。特にノリアキとベンジャミンの決死の観測は絶体絶命の連続で手に汗握る。一部「台無しだ」と言いたくなるシーンもあるが、それを差し引いても読み応え十分な戦争シーンだった。
次で終わりか。さらに過酷な運命が待ち受けていそうなラストだが、最後こそバカ皇子がヘタレなしでやってくれるんだろうか? とにかくクレアが最後に笑っていられますように。