いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「喰―kuu―」内田俊(MF文庫J)

喰-kuu- (MF文庫J)
喰-kuu- (MF文庫 J う 4-1)

すぐれた戦士には例外なく、賞賛と敬意をこめて二つ名が送られる。
ある者は《氷山に咲く花(フリージア)》と、またある者は《四つの胃袋を持つ男(クアッドコア)》と、そして彼女はかつて、こう呼ばれた戦士だった――《極大引力(ブラックホール)》。
突然バイト先に現れた大食い少女・井ノ原みのりの勇姿に魅せられた主人公・ハチは「俺と付き合ってくれ」といきなりの告白に打って出る。そんなハチに対しみのりは「これを食べきることができたらお付き合いします」と、三十人前の超巨大ラーメン『食神』を指さすのだった――。大食いに身を捧げた者達の熱きドラマが今始まる!!


“萌え”のMF文庫Jの新人賞にしては随分とスーパーダッシュ文庫風味だなあと。
草薙護堂(変人のくせに自分は普通だと思っている故障した元野球選手)が、ベン・トーみたいな世界に飛び込んだような作品。
初めのうちは正直微妙。
テンポは悪くないが笑いが小ネタ頼りの会話がイマイチ。折角キャラが変人ばかりなのだから、オタクネタなんて喋らせなくても素でぶつからせるだけで面白いのに。
でも、中盤以降スポ根ものになってからが面白い。やたら強い部長、苦しい特訓、己との戦いと燃え要素たっぷり。但し、やってることは大食い。このお馬鹿なのに熱いこのノリは嫌いじゃない、というか大好きだ。
これで料理の描写と小ネタの使い方が上手ければなぁ。どうしてもノリが似ているから『ベン・トー』と比べてしまう。
なかなか面白かったのだけど、なんとなく物足りなさと勿体なさを感じる作品だった。