いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「レイヤード・サマー」上月司(電撃文庫)

レイヤード・サマー (電撃文庫)
レイヤード・サマー (電撃文庫)

高校二年の夏休み。
俺は、一夏の想い出ってやつを体験した。
柑橘系の匂いが香る、ちょっと不思議な少女。彼女は、常識はずれな行動と共に、俺の許へとやってきた。
時間さえも飛び越えて、俺の未来──これから死に行く人生を止めるために。
これは、世界の何処かで起こった、ありふれた者同士のストーリーだ。ありふれているかもしれないけど、俺と彼女にとっては、忘れられない大切な想い出でもある。
世界の何処かで、俺と彼女が体験した『重なり合った夏』の物語なんだ。


野々子が可愛い。これに尽きる。
初めのうちはベタな幼馴染みキャラで、最後泣くことになるのかな?と思いながら読んでいたのだが、涼平(主人公)と庵璃(ヒロイン)が一緒にいるのを見た辺りから印象が一辺。そこから言い出す小さなわがままは可愛いし、自分に出来る精一杯で涼平を引き止める姿は健気だしで、野々子株が一気に上昇。そして全身全霊での告白で止めを刺された。主人公愛されすぎ。なんて羨ましい。
さて、本題は「タイムスリップもののボーイミーツガール」なわけだけど、、、これを楽しめたかといわれると微妙。
ヒロインの庵璃に野々子ほどの魅力を感じなかったのが一つ。それにタイムスリップものとしても、庵璃のやり方に納得がいかないので違和感が残った。
初めのうちは与えられた情報の中でレイヤーや時系列毎の出来事を考えさせられるのが面白かったのだが、ネタが明かされる度にハルを止めるにしても、涼平を助けるにしても、もっと他にやりようがあるように思えて仕方なかった。
切なさと明るい未来が混在するラストは綺麗だったが、違和感を拭い去るほどではなく、ちょっとモヤモヤするものが残る読後感。