いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「赤鬼はもう泣かない」明坂つづり(ガガガ文庫)

赤鬼はもう泣かない (ガガガ文庫)
赤鬼はもう泣かない (ガガガ文庫)

女子の二の腕をなめてしまったヘンタイ中学生(?)・西遺大豪は単身、地方の学校へと転校させられる。奇妙な担任やクラスメイトたちに囲まれながらも転校生活を慎重に送ろうとするのだが、いきなり隣の席の女生徒・喪庭ここめに指を吸われてしまってドキドキ。しかし村中の人々からは、なぜだか「垢嘗」という妖怪あつかいをうけてしまう大豪。対するここめは大豪の血を吸ったせいなのか、徐々に変化していくのだが……!? 第5回小学館ライトノベル大賞、審査員特別賞受賞作!!


端的にいうと
変態だー!!!!!(AA略 → わけがわからないよ(AA略 → ええ話や
って感じ。


掴みは完璧。インパクト、変態度、シュールな笑いのどれもが素晴らしく、一気に不思議ワールドに引き込まれる。
終盤も悪くない。基本的には男の子が女の子のために頑張る話で読後感良し。
・・・なんだけど、中盤の中途半端さと説明不足が残念。
コミカルなオープニングからの突然のテンションダウンに戸惑う上に、終盤の展開への伏線も全然足りない。中盤からシリアスにするなら、村の成り立ちや鬼への負の感情をはっきりさせておけば、最後がもっと盛り上がったはず。もしくはコミカルで突き通して最後だけ思いっきりシリアスに振るのもありか。
それと設定も生かし切れていない感じが。ストーリー上、ここめ以外が妖怪である必要が特にない。主人公なんかは最後の盛り上がり的にも変態的にも、人間だった方が良かったんではなかろうか。
良いところはいくつもある代わりにバランスの悪さが目につく、良くも悪くもガガガの審査員特別賞らしい作品だったかな。