いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「脱兎リベンジ」秀章(ガガガ文庫)

脱兎リベンジ (ガガガ文庫)
脱兎リベンジ (ガガガ文庫)

「宇宙人」と揶揄され、友達もいない内気な高校生・兎田晃吉。軽音楽部に所属する彼の唯一の趣味はギター。文化祭を控えるも、彼にはバンドを組む仲間もなく、イケメン部長・志鷹の嫌がらせで練習場所もない。そんな兎田と偶然出会い、事情と実力を知った漫研の部長・兎毛成結奈は、彼にリベンジを達成させるため、なにやら妙な友達を集め始めるのだが……。軽音部の笑われ者と、漫研の実力者、ふたりの残念な出会いが新しい才能を開花させる! クソッタレな世界をねじ伏せろ!! 第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞受賞作!!


ガガガ賞でこのあらすじだから、相当尖ったものが出てくると思ったんだが・・・まともだ、すっごくまともだ(偏見


気弱で卑屈なロック少年の下剋上物語。挫折に涙、特訓に友情、これぞ青春って感じ。いいね、熱いね。
どちらかというと、ストーリーは単純明快でキャラクターの個性で勝負するタイプの作品。
なんだかんだで最後は頑張れる主人公も悪くないが、彼の背中を押す先輩たちのキャラクターが一癖も二癖もあって良かった。
特に男性陣。威風堂々の文字が似合うオカマのお菊先輩は主人公を諭す言葉に力があるし、天才とバカは紙一重を地でいく金シュロ先輩は言葉や態度ではなく仕事で魅せる姿がカッコいい。
また、悪役が小物ながらしっかり悪役だったのも良かった。ここまで卑怯で姑息を貫いてくれると、やり返した後の爽快感が素晴らしい。
ゲテ物を食べにいって真っ当なものが出てきたので少々面食らったけど、面白かった。
兎毛成編も書けないことはないだろうけど、綺麗に終わってるから続きはないかな。



しかし、あそこまで言われて気付かないとは。主人公補正か。
それだけ好きな漫画なら絵柄やタッチだけでも気付きそうなもんだけど。おまけに名前はアナグラムだし。