いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はたらく魔王さま!3」和ヶ原聡司(電撃文庫)

はたらく魔王さま! (3) (電撃文庫)
はたらく魔王さま!〈3〉 (電撃文庫)

魔王城(築六十年の六畳一間)の庭に、異世界からのゲートが開く。そこから現れた少女は、魔王をパパ、勇者をママと呼んだ! まさか二人がそんな関係だったなんて……とショックを受ける芦屋や千穂。だが、一番混乱していたのは魔王と勇者だった! 
少女は魔王城で預かられることになり、真の意味での大黒柱になった魔王は、子育てに挑戦! さらに、親子(?)三人でおでかけもあったりで、恋する女子高生・千穂は、やっぱりヤキモキしてしまうワケで――?
フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、波乱必至の第3弾!


はたらく魔王さま!』改め『育児を頑張る魔王さま!』をお送りしますな3巻。
2巻が1巻とあまり変わらない内容だったので変化が欲しいとは思っていたけど、まさか育児とは。
バイトの話は減ってしまったものの溢れだす生活感は変わらず。まあ、子育てですしw ファンタジー(一応)なのに日本の風習や育児の真面目な薀蓄が飛び出すのがこの作品ならでは面白さ。そこに赤ん坊アラス・ラムスの癒し効果も合わさって、慌ただしい中に何とも言えないほんわか感が。
それにしてもちーちゃんはハイスペックだね。料理だけでなくおむつ代えまでこなせるとは。芦屋の中のちーちゃん株の高騰具合が今回一番の笑いどころかも。実は人間関係のピラミッドの頂点にいるのちーちゃんじゃね?w
ストーリーとしては魔王が〜というよりも、エミリアが人として成長する話だったかと。
外見はOLでも精神的には未成熟なエミリアが、魔王といつもより深い会話をしてアラス・ラムスに触れて少しずつ変わっていくのが分かる。自分が言ったセリフが自分に返ってきてるのが分かってないのがまだまだだけど、物事の片面しか見えていなかったものが、魔王の言葉で悩み始めたのは確かな成長の証。このままデレる……のはないか。
今回もくすりと笑えてほろっと泣けるいい話だった。コメディとハートフルのバランスが絶妙。
向こうの世界の伏線がいっぱい出てきたから、ファンタジーかつシリアス寄りになったりするんだろうか。この生活感だけは消して欲しくないが。とりあえずエミリアに試練が!な展開になりそうかな。