いつも月夜に本と酒

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「クーデレな彼女とキスがしたい」水口敬文(一迅社文庫)

クーデレな彼女とキスがしたい (一迅社文庫)
クーデレな彼女とキスがしたい (一迅社文庫)

悪趣味なくらいのホラー・グロテスク好きとクールな態度で他人を寄せつけない雪穂。
しかし、和希は彼女の意外な一面を知り衝動的に告白し、驚くほどすんなり彼氏になれた。しかし肝心の雪穂は恋人関係というのがどういうものか理解しておらず、いつものマイペース。
和希は「雪穂の彼氏としてキスくらいはしたい!」と本当の意味で雪穂の恋人になろうと頑張るのだが、ホラー苦手な和希とホラー大好きの雪穂では接点が少なく、どんな努力も空回り。
それでも少しずつお互いのことを理解できはじめ距離が縮まり始めた矢先、「ずっと前から和希が好きだったの……」と、和希の幼なじみでもある藍那の態度がおかしくなり……。


誤:「クーデレな彼女とキスがしたい」
正:「ヤンデレな幼馴染みをどうにかしてくれ」



メインの二人は初々しく清々しいカップルだった。
初めのうちは、主人公・和希が勝手に好きになっといて自分の価値観を押し付けるダメ彼氏な面を見せていたので、腹が立ちそうな話だなと思いながら読み始めたのだけど、いつの間にやらクールな彼女よりも初心で情けない彼氏のアタフタを楽しむように。それだけの見事なヘタレ具合もだが、気遣いだけはちゃんとできる好感が持てる主人公だったのが良かった。
一方の彼女・雪穂は、クールというか感覚が一般人と少しずれている少女。初めのうちは何に対しても無反応な彼女が、ちょっとずつ和希に感化されて赤面率が上がっていく様子が可愛い。そんな二人の人となりが端的に出ているお化け屋敷のシーンが一番のお気に入り。
但し、この作品を読んで印象に残るのは間違いなくそこじゃない。
主人公の幼馴染み藍那。初めからうざさMAXでヤンデレの気配がありありな彼女だが、まさかここまで突き抜けてしまうとは。雪穂の趣味のホラーよりもよほど恐ろしい病みっぷり。インパクトが強すぎてメインヒロイン雪穂の印象が残らなくなってしまうという、タイトルからすると本末転倒状態に(^^;
それでも、予定調和なラブコメとは一線を介していてそこそこ面白かった。主にホラー的な意味でw