いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「勇者には勝てない」来田志郎(電撃文庫)

勇者には勝てない (電撃文庫)
勇者には勝てない (電撃文庫)

魔王に次ぐ力を持ち、異世界で人々を恐怖のどん底に突き落としていた三人の魔将たち。だが、勇者にあっさりと破れ去り、今は人間として生まれ変わって平凡な高校生活を送っていた。
そんな彼らの前に、勇者の証“光の波動”を放つ転校生が現れる。自分たちを始末しにここまで追ってきたのか!と怯える三人組。これは土下座して許してもらうしかないと覚悟するが……。
しかし、彼らは知らなかった。その後に勇者より恐ろしい魔王様の“闇の波動”が迫っていることを! 勝てない宿命を背負う、中ボスたちのファンタジック学園コメディ。

第18回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作。



異世界の勇者や魔王が現代に転生するというライトノベルではよくある学園コメディ。
少しひねりが効いているところは、勇者や魔王ではなく三魔将、RPGで言うところの中ボスクラスの三人がメインだというところ。
で、その三人はというと、
こいつら本当に将軍クラス?もっと下っ端だろうと思わせる、ヘタレ具合や変わり身の早さ、必要以上の遜(へりくだ)り方が面白い。散々悩んだ挙句に選ぶ選択肢が土下座てw
そんなへっぽこ三人衆だけど、勇者や魔王にビビりながら、かつ勇者の完全復活阻止という情けない理由ながら、可愛い女の子(勇者)のために頑張っちゃう人の好さや男の子な姿は読んでいて気持ちがいい。基本的にはいい奴等なのよね、卑屈だけど。
ただ、終盤が少々中途半端か。
アクションシーンの描写が下手なのは本質じゃないので目をつぶるとしても、最後だけ急にラブ要素いれるのはどうだろう。ラブ排除の純コメディだと思っていたら気にならなかったけど、ラブコメとなるとなど色々と不自然な点が浮かび上がってくる。
それでも、ダメな男の子たちが頑張るコメディとしてはなかなか面白かった。