いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「うちの居候が世界を掌握している!」七条剛(GA文庫)

うちの居候が世界を掌握している! (GA文庫)
うちの居候が世界を掌握している! (GA文庫)

はるばるドイツから日本の貧乏工務店・飯山家にやってきた少年、笠取真哉。
その正体は、世界有数の大企業オリオンリュートの創業者にして、指先ひとつで軍事衛星さえ操れるハイスペック中学生男子である。
ワケあってその素性を隠したまま、真哉はここ飯山家に居候することになったのだが……
「この家には年頃の女の子がいるのよ! いきなり同居だなんてっ!」
そこには趣味も性格もバラバラな可愛い三姉妹も一緒に住んでいて!?
今までの経験が役に立たない環境で、社長ぉ、どうするんですかっ?
世界一無敵な少年社長と面白かわいい三姉妹が送る《GA文庫大賞受賞》のアットホームラブコメディ!

第4回GA文庫大賞<奨励賞>受賞作



随分と古風だな、と。
家族ものの王道ストーリーに加えてギャグ漫画を思わせる過剰な演出。一昔前のラノベ、いや20年くらい前の少年マンガを読んでいる様な気分になった。
トータルの評価としては可もあり不可もあり、長所と短所がはっきり分かれた奨励賞らしい作品という感想。
大筋は王道で悪くないのだが、設定や話の中に矛盾が見えたり主人公が万能すぎて感動が薄れてしまっていたりと、ストーリーや設定はもう少し練った方がと思わせる。
一方で光るところも。表現方法が独特で面白い。
アホの子の長女・桃香の勉強に対する解釈や、物事を斜に構えた捉え方をする次女・莉子のオタク文化の説明に笑いどころ満載。ドン・キホーテの扱いには声出して笑った。
これの続きよりは、表現方法のセンスを生かした他の作品が読みたい。