いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「猫にはなれないご職業」竹林七草(ガガガ文庫)

猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫)
猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫)

吾輩が暮らすのは代々、陰陽師として名を馳せた藤里家。その末裔は女子高生の桜子なのだが…吾輩たちが隠していることもあって本人は陰陽師について、何も知らないのだ。当然、吾輩が人語を話せることもな。ある日、桜子の祖母・春子が寿命で亡くなったことをきっかけに、彼女が封印した妖異が解き放たれてしまった。このままでは桜子が危険にさらされてしまう! 春子もおらん今、もう吾輩が守るしかなかろう。絶対に守り抜いてみせようぞ!!


陰陽師を扱った作品は数あれど、猫又が陰陽師なのは流石に初めてだろう。
そんなわけで猫の話。かと思いきや、可愛らしい容姿とは裏腹に一人称は吾輩で口調はおっさんの猫又・タマが主人公。そうこれはおっさん萌えの話。
どこか達観していてくたびれた感じの普段と、今時のオタク文化に詳しかったりその手のツッコミが鋭かったりする笑い方面でのギャップ&小さい身体で命を張って桜子を守ろうとするカッコいい方面のギャップの二つ一辺に味わえるのが魅力。
反面、ギャグで入れている腐女子ネタが浮いていて、腐女子である必要をあまり感じない命と、話の軸なのに存在感0の桜子など女の子の使い方があまり上手くないのが残念。
それでもコメディとシリアスのバランスが良く、沁みるラストが好みでなかなか楽しめた一冊。
次はおっさんしか出てこない哀愁漂う話を書いてくれると嬉しい……あ、売れないやそれw