いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「八丈島と、魔女の夏」小椋正雪(一迅社文庫)

八丈島と、魔女の夏 (一迅社文庫)
八丈島と、魔女の夏 (一迅社文庫)

両親の長期出張で俺が預けられた先は八丈島?! しかも、俺を預かってくれる親父の親友は本物の魔女だって?!
島に住む少女、真奈との出逢い、そして八丈島の穏やかな生活と魔女エーファのまわりでおこる不思議な事件。俺の波瀾万丈な八丈島生活、ここに始まる!
第一回キネティックノベル大賞佳作。


ちょっと不思議付き八丈島ライフ。
作品の雰囲気が穏やかで心地いい。
知り合ったばかりのクラスメイトとの交流、細かい描写の八丈島巡り、お世話になる喫茶店でのメニュー作りなど、身近な素敵探しをしているような話で読んでいてほのぼのする。
また、ラブコメとしてもニヤニヤ多め。
双方素直で真面目という珍しい組み合わせで、喋り方や呼び名が変化していく過程で日々近づいていく距離感が分かるのが良い。
一方で、諸々の設定に何の意味があったんだろうと首を傾げるところも。
二人の過去の関係やヒロインの弱点の秘密、なんで主人公だけ大丈夫なのかなど、匂わせておいて全て投げっぱなしという荒業を見せてくれる。これは新人賞らしいと言っていいんだろうか。続きが出せそうな終わり方だから、伏線の回収は続刊に期待するしかないのかな。
まったり日常系や静かで柔らかいラブコメが好きな人にはオススメ。