いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「グロリアスハーツ2」淡路帆希(富士見ファンタジア文庫)

グロリアスハーツ2 (富士見ファンタジア文庫)
グロリアスハーツ2 (富士見ファンタジア文庫)

シローフォノ軍の研究機関『クレイドル』にて生まれた、怪異の力を持つ人型の生命兵器――『贋人』。
贋人として生まれた少女・ユズカと、ユズカを人間にしたいと願う少年・アルトゥールは、贋人の秘密を知る研究者・ディクタ・イングリスの手がかりを探して、ジャッロ、コリーナ市へ向かう。街へ入ると早々に宅配の仕事を頼まれるのだが、その届け先は誰もいない廃工場地区だった。しかも、そこで二人を待ち受けていた人物は……!
大切な人を失い、守りたいという強い願いが、少年の中に眠る七つの龍を呼び起こす! 本格ファンタジー!!


え? 終わりなの?
初めからここまでしか考えてなかったのか打ち切りなのか判断に苦しむラインだ。いくつか謎が謎のまま終わっているけど、素直に感動できる綺麗なラストだったのも確か。


贋人を人間にという目的の手掛かりを求めて、アルトゥールとユズカが訪れた思い出の地で待っていたのは、意外にも1巻に出てきたあの人やこの人。そのまま仲間になって一気に賑やかに。
おかげで前回兄妹の枠からちょっとはみ出して、微妙な空気が流れる二人きりのシーンが少なかったのは残念なような良かったような。初々しくてこそばゆいお二人さんでニヤニヤするのもいいけど、そればっかりというのもねえ。
でも、シリアスなシーンになるとお互いへの想いの強さが溢れ出るのは一巻同様。それに今回はもう一つの人間と贋人のペアの想いも重なって、切なくなるシーンが多い。そして強い気持ちによって生み出される奇跡、王道中の王道だけど良いものは良い。
そんな二人が迎えるラストシーンは、目的まではまだまだでも救いのあるまた強く歩き出せそうなラストで、二人の涙にもらい泣きしそうになった。
しかし、この終わり方だと二人が想いを告げるのは当分先になりそうだなあ。夢を叶えてからとなると道中険しそうだし、そうなると彼女の存在も何かと絡んできそうだし……色々と妄想が広がる。やっぱりもっと二人の行く末を読みたかった。