いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「疑心恋心」丸山英人(ガガガ文庫)

疑心恋心 (ガガガ文庫)
疑心恋心 (ガガガ文庫)

十島 樹はしゃっくりに悩まされていた。様々な俗信を試したがしゃっくりは止まる気配がない。そこに、なにをやっても止まらないという噂を聞きつけた、おせっかいな友達が『絶対にしゃっくりを止めることが出来る人物』のところまで連れて行ってくれるという。だが案内された先は、ここの生徒なら誰もが恐れる“呪われた地学準備室”。部屋を覗くと中にいたのは異質な雰囲気を纏った美少女だった。思えば、この瞬間から僕の人生が変わったのかもしれない。そう、呪われた地学準備室の主・釣見朱鷺子に出会ったことで――――。

彼女の周りでは俗信(食べてすぐ横になると牛になる)や疑似科学マイナスイオンなど)が現実のものとなる。



確かに新感覚ではあったかな(帯の新感覚ラブコメディに対して)
純粋なんだか馬鹿なんだか分からない単純さも、沸点の低さも、捻くれたきっかけも、主人公・樹の思考回路が全然理解できない。これは合わないか?と思ったのだが、その樹の不思議発言に対してヒロインズ(主に朱鷺子、たまに千佳)が思った通りのツッコミを入れてくれる。
これは樹はあまり理解されないことが分かって書いてる? 主人公には感情移入できないのにツッコミには共感できるので、合っているとも合っていないとも言い難い奇妙な感覚だった。
ブコメとしては、口調も堅ければ態度も堅い朱鷺子が次第に軟化していく過程がベタだが良い。しかもデレがゴールではなく、デレた後の描写があるのがなお良し。反面、幼馴染みが可哀想なのは単発もの(多分)としての宿命か。
主人公がアレなので前半はかなりテンションが下がったが、ラブコメはなかなか+朱鷺子の特殊能力のおかげで薀蓄小説的な楽しみもありで、後半盛り返してトータルそこそこといったところ。