いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「とある飛空士への誓約1」犬村小六(ガガガ文庫)

とある飛空士への誓約 (1) (ガガガ文庫)
とある飛空士への誓約 1 (ガガガ文庫)

四千もの島嶼が大瀑布を挟んで存在する「多島海」。ハイデラバード連合共同体、セントヴォルト帝国、秋津連邦、三つの大国が覇権を争うこの海を、七人の少年少女の操縦する大型飛空艇が親善飛行していた。いずれもその突出した才を認められた士官候補生たちだったが、「空の一族」の強襲に、名も知れぬ島への不時着を余儀なくされる。脱出のために協力する七人。しかし、そこには裏切り者が潜んでいた――。空戦ファンタジーの金字塔! 「飛空士」新シリーズ、史上空前の規模でついに始動!! 七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語。

とある飛空士シリーズ9作目。



作者のコメントに「シリーズ最大スケール、最長の群像劇」とあるので、1巻は人物紹介+αくらいでしょと思ったらとんでもない。
中盤から早くも空戦に次ぐ空戦。しかも学生7人の大型飛空艇に襲いかかる性能も熟練度も上回る「空の一族」という構図で、当然の如く絶体絶命の連続。いきなりこの緊張感が味わえるとは。本当に最後の最後まで手に汗握った。
また、人間ドラマの方にも読み手にはある緊張感が。
集められた7人の少年少女の中に敵国の工作員と身分を隠した王位継承者が紛れ込んでいて、どこかにヒントはないかと彼らの言葉の一つ一つに気が抜けない。
そして、忘れちゃいけないのが恋愛模様
すでに冒頭でいくつかの別れが約束されていて、またしても悲恋の匂いがぷんぷんする。最後にはまた泣かされそうだ。今回は揺れ動く堅物少女イリアはかなり可愛かったけど、泣くことになるんだろうなと考えると切なさが強く残る。今のところ群像劇といいつつ、3人+継承者・工作員の視点しかないので、他の恋愛模様は次からのお楽しみか。
流石の安定した面白さだった。次は7人で何をするのか、どこまでスケールが大きくなるのか、続きが楽しみ。



〜継承者/工作員に対する独り言〜
継承者はミオの可能性が高そうだけどミスリードのような気がしなくもない。
工作員はバルタザールと見せかけてライナ? バルタザールはどうも善人くさい。
でも、ただの勘だけどセシルがどちらかのようなの気がしてならないんだよなあ。