いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「お願いだから、あと五分!」境京亮(MF文庫J)

お願いだから、あと五分! (MF文庫J)
お願いだから、あと五分! (MF文庫J)

「……やっと、見つけたんだからさ」「見つけた……?」「うん。私の――枕」って、『枕』?俺・内藤優一が図書室で出会った謎の美少女・木枕コトハ。彼女は眠っている間だけ予知能力が使える超能力者だった。コトハは暗号名・〈全知全能の姫君〉と呼ばれ、大企業・羽島グループでアルバイトをしているらしい。「私は眠れる超能力者! 君はその相棒。だから私が眠っている間、君は私のそばにいなくちゃいけないの!」俺はコトハの相棒として仕事を手伝うことになって――!? 第8回新人賞佳作受賞。枕系主人公×お眠り美少女が織りなす、ハイテンション安眠系ラブコメ登場!


このタイトルこのあらすじでよく寝る子じゃない……だと!?
ま、特に問題の無いタイトル詐欺は置いといて、MF文庫Jの新人賞らしくキャラ小説としては優秀。
積極的で陽の気を放つメインヒロインのコトハと(時々仕草が幼くて子犬がじゃれている様になるのも◎)、ツンデレ気味の委員長なサブヒロイン・蓬子でバランスが取れていて、主人公の優一は正義感が強くてヘタレでないのがポイントが高い。
それにコトハの気性もあってコメディ思いっきり明るく、それぞれが抱える過去の傷のエピソードで真面目なところは思いっきりシリアスにと、メリハリが利いているのが良い。
但し、他の要素は悪い意味で新人賞らしい。
超能力を使って雇われた企業の利益になるための仕事をする話なのだけど、その設定の説明が下手くそで、キャラ達の会話についていけなくなったり(特に主人公が諸々を納得している理由が全くわからん)、超展開に感じてしまったり(最後の決戦への持って行き方は無理矢理すぎ)と首を傾げることが多い。まあ、だからこそ佳作止まりなんだろう。
絵師のあとがきからすると続刊決定済みっぽい。このタイプの主人公だとヒロインが増えるかな? その前に仕事の説明と内容が理に適ったものにするのが先決。そうすればストレスなく読めてもっと面白い作品になりそう。