いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「白銀の救世機」天埜冬景(MF文庫J)

白銀の救世機 (MF文庫J)
白銀の救世機 (MF文庫J)

「応えて! ゼストマーグ! あたしの想いを力に変え、勝利へ導いて!!」突如として現れた謎の生命体・XENOに支配された世界。人類は感情を失った生物、ゼノイドへと進化を遂げ、生き残っていた。落ちこぼれの少年、アルツはゼノイドとして生き残るための選別試験の途中、コールドスリープしていた旧人類のナユキと救世兵器『ゼストマーグ』と出会い、自分と世界を変える戦いに巻き込まれていく……。《――時は来た。『白銀新生』の扉を開け――》新人賞最優秀賞受賞作家が贈る、絆で闘うヘヴィバトルアクション、堂々スタート!


セカイ系ロボットアクション。全くMFっぽくない新人賞最優秀賞受賞作。SD文庫の大賞もそうだったし今年の流行りなん?
流石は最優秀賞。世界観はちゃんと練られているし、ロボットの設定は挿絵を含めてそのままアニメ化しても問題ないレベル。
そして何より“心”を中心に据えたストーリーが熱い。
ロボットの動力源が心の力なので、アクションシーンは必然的に燃える仕様になっている。さらに新人類は感情を失っているので、初めて感情というものに触れる彼らに「心とは何か」を語らせることで、恥ずかしい台詞もバンバン言ってくれるのが素晴らしい。ロボットものはこのくらいクサくて丁度いい。
ところが、残念なことに後半になるにつれて粗が激増する。
圧倒的な情景描写不足に加えて、場面の切り替えが唐突なところがいくつもあり置いてけぼりになることもしばしば。新人賞にありがちな詰め込み過ぎのダイジェスト展開になってしまった。
前半はそんなことないので、新人賞の応募枚数に合わせる為に大分削ったんだろう。
とても面白かった……前半は。後半書き直してもう一度出しませんか?