いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「紅ヴァンパ ようこそ紅浪漫社へ」清水文化(NMG文庫)

紅ヴァンパ ようこそ紅浪漫社へ (NMG文庫)
紅ヴァンパ ようこそ紅浪漫社へ (NMG文庫)

難関校に主席入学した香奈だったが、最近体調が優れずにいた。そんなある春の日、下校中に巻き込まれた出来事…それはクラスメートの優花里が街中でライフルを持ち―毛むくじゃらの生物―獣人と大立ち回りを演じていた。未だそのショックも癒えぬ翌日にたまたま命の恩人であるジャーマイン医師と遭遇。彼の屋敷で研究の話を聞いていると、香奈自身も錬金術の技術で、ヴァンパ―獣人等の新人類―へ覚醒すると知らされて…。


う〜ん、これは……
内容、主にキャラクターはゆるゆるなのに、世界観や物語の核になる部分はしっかりと科学的に理屈付けされている骨太仕様。というのが清水作品の良いところで、この作品もその例に盛れず、お気楽なキャラクターたちと、吸血鬼や獣人を遺伝子の病気で説明付けて登場させている。その説明に託けて薀蓄方面に脱線するのもいつも通りで面白いところ。
なんだけど、、、流石にこれは世界観とキャラクターが乖離し過ぎ。清水文化ファンの自分でもちょっとついていけないレベル。
病気が進行して理性がなくなった人たちが出てきたり血みどろの戦いをしていたりと、ストーリーは重く血生臭いのに、キャラクターには焦りや危機感などの負の感情は無し。荒事に慣れている結社のメンバーならともかく、巻き込まれた一般人の主人公まで恐怖感0だからなあ。かと言ってその乖離具合のシュールさをネタにする作風でもないし。
清水先生の作風でどうしてこんな設定にしちゃったんだろう? 正直、薀蓄以外楽しめるところがない。