いつも月夜に本と酒

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「謀王」秋目人(メディアワークス文庫)

謀王(はかりおう) (メディアワークス文庫)
謀王(はかりおう) (メディアワークス文庫)

口先で騙り、金も力も愛も手に入れた少年フィッツラルド。ついに王座にまで手をかけた――と確信した刹那、気まぐれな運命は彼を嘲笑う。
周辺諸国の謀略に巻き込まれ、その手から王座という宝が零れ落ち、少年は再び死闘へと乗り出すことを決意する。そして謀略の陰に、死んだはずの男――婚約者リズの兄、ルウェウス――の存在を嗅ぎとったフィッツラルドは……。
複雑に絡み合った罠、信じていた人間の裏切り、そして忍び寄る暗殺の手。
フィッツラルドは果たして、自らを翻弄する運命に、勝つことができるのか――?
痛快な時代ロマン小説!

『騙王』の続編。



やはり面白い。この会話がたまらなく面白い。
相手の言葉の真偽と真意を読み合う緊張感のある会話が読んでいて楽しくてしょうがない。
しかも、前作はどん底からのスタートということもあり、騙りの天才・フィッツラルドの独壇場といった体だったが、今回は死んだはずの婚約者の兄という明確だが姿が見えない相手との謀り合いで緊張感は前作以上。
周りは敵ばかりな上に少ない味方の中でも誰かはスパイ、手の内の全容が見えない相手、相変わらず本心を語らないフィッツラルドの思惑はどこか? 先の見えない展開にワクワクが止まらない。
そして終盤になると、予想出来る裏切りを隠れ蓑にした予想外の裏切りに驚かされ、そんな出来事にも柔軟に対応していくフィッツラルドの機転と実行力にまた驚かされる。
知略・謀略に加えて相手の策に対する対応力まで見せつけてくれたフィッツラルドに感服。
前作と違い明らかに続きそうな終わり方をしているから、続きを期待していいんですよね?