いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「サエズリ図書館のワルツさん2」紅玉いづき(星海社FICTIONS)

サエズリ図書館のワルツさん 2 (星海社FICTIONS)
サエズリ図書館のワルツさん 2 (星海社FICTIONS)

就職活動に全敗し、頼みの綱でもあった「LB(リストベース)管理者採用試験」も体調不良による棄権を余儀なくされた千鳥さん。ただ、自分にとっての天職を見つけたいだけなのに……。自分に自信がなく、といって好きなことも思い浮かばず、回復しない体調に苛立ちながら、なやみ、うなだれていた彼女に差し伸べられたのは、人々の羨望を集めた“神の手”を持ちながらも、紙の本が稀少化したこの世界に絶望した、ひとりの“図書修復家”の手だった——。
“本の未来”が収められた、美しく、不思議な図書館を、紅玉いづきが紡ぐ待望のシリーズ第二弾。

チドリさんが主役の中編(全三話)とサトミさんふぁ主役の短編という構成。



中編の主役・千鳥さんは大学四年で就活生。自身の性格と体質ゆえに目指した職の道を絶たれ、他の面接も落選ばかり。自信も希望も失った彼女が辿り着いた先はサエズリ図書館。そこでワルツさんと「本」に出会い……。
夢見るだけじゃ何もできないのが現実なら、夢があれば前が向けるのもまた事実か。
ことある毎に自分の弱さを卑下し、引っ込み思案も強烈でヤキモキすることが多い千鳥さんの話。でも、どんなに自信を失ってもままならない体質であっても、引き籠ったりせず自分の足を動かすことをやめなかった千鳥さんに拍手と賛辞を送りたい。この根性は決して弱い人間じゃ出せない。前を向こうともがいた彼女だからこそが掴めた幸運に納得。
短編のサトミさんは……えー!!?
と思ったら前に一度読んでるじゃないか。全く覚えていなかった(^^; 新鮮に驚けたから良いか。
中編も短編も「諦めないことの大切さ」を説く内容だった。ちょっと勇気が欲しい時に読んでもらいたい一冊。