勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。7 (富士見ファンタジア文庫)
勇者試験直前に魔王が倒されてしまい、勇者になれなかった少年ラウル、父親である魔王が倒されて居場所が無くなった魔王の娘フィノ、ラウルの勇者予備校時代のライバル・アイリの三人は、王都にあるマジックショップで一緒に働いていた。
いつものようにラウルが出勤すると……お店にラウルがもう一人!? 急遽「どちらが本物のラウルくんでしょう大会」が開催され、その結果、ラウル（本物）は偽物と認定されて店を追い出されてしまう。……って、なんでだよっっっっっ!!?? ラウル（偽物）の目的はいったい何なんだ!?
勇者と魔王の卵が織りなすハイテンション労働コメディ!!
どうしたんだろう、これ。ちょっと引くぐらい出来が悪い。
ラウルの居場所を一度奪ってみるという発想は良かったのに、そこに肉付けされたのはこれでは……
ラウルのハイテンションで誤魔化した読むに堪えない第一章の茶番に始まり、ご都合主義にもならない理屈の通らない強引な展開、流れが不自然で必然性が感じられない無駄なラブコメ、感動も成長も何もないあっさりかつやっつけなオチ。
キャラにしても、がなるだけのラウルにツンが消えたちょろいアイリ、おもちゃに飽きたただガキだった今回の敵と、良いところがどこにも見当たらない。
元々普通のラブコメのテンプレは下手くそでも、ファンタジーらしからぬ世知辛さや仕事を通じての人間的成長など、それ以上に良い部分があるから７巻まで巻数を伸ばしているのに、その長所が根こそぎなくなっている。
そもそも少し考えたらこんな無茶なストーリーにはならないだろうに。いや、何も考えてないんじゃなくて考える時間がなかったんだろうな。アニメ化に合わせて無理して刊行した感がありあり。
ライトノベルの不幸なアニメ化は過去何度も見ているので、作者がそうならないことを祈ります。
