いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「瞳のさがしもの」入間人間(メディアワークス文庫)

瞳のさがしもの (メディアワークス文庫)
瞳のさがしもの (メディアワークス文庫)

「あ?」
僕の乗っているバスが、交通事故に巻き込まれた。隕石が落ちてきたような、とても大きい音がした。それと同時に、僕の隣に偶然座っていた、とてもかわいい女の子と、激しくぶつかりあう。
事故に遭ったことを瞬時に理解できず、僕の頭の中は真っ白になっていた。唯一記憶しているのは、その衝撃によって、自分の『右目』を失ってしまったこと。そして、隣に座っていたかわいい女の子と、ファーストキスを交わしたこと――。
『片目』と『初恋』を描く『静電気の季節』ほか、『ひかりの消える朝』『みんなおかしい(ぼく含む)』、最新書きおろしエピソードを加えた短編集。

「片目」と「片思い」をテーマにした4編+1。
爽やかな青春の中にグロと狂気が入り混じるこれぞ入間人間という短編集。




ひかりの消える朝
内容:もの静かな少年と引っ越し間近の少女の秘密の逢瀬
痛い痛い、二つの意味で痛い。
男の子の切ない片思いの話が何故こんなことに。
真っ暗から少しだけひかりが戻ってきた、希望の持てる終わり方なのが救い。




静電気の季節
内容:凄惨なバスの事故から生き残った二人は。
不幸な事故からスタートとは思えないこの爽やかさはなんだろう。
入間作品にしばしば出てくる少年っぽい性格の女の子が好きなのだけど、この作品の彼女はその中でも一番かも。空元気でもこれだけの振る舞いができる強さに惹かれる。
傷の舐め合いでもいいじゃない。爛れた青春送ろうぜ。




みんなおかしい(ぼく含む)
内容:鏡の中に移る彼女にしか興味のないぼく
珍しく狂気しかない話。
ナルシストの究極の形なのかと思ったが、オチでまたよく解らなくなった。




瞳のさがしもの
内容:ある少年→青年の片思い
表題作なのに微妙だなーと思いながら読んでいたらラストでやられた。
一話目二話目といい最後の最後にちょっと上げて読後感を爽やかにしてくれる。
個人的な好みは真田さん。




にゃんと素敵にゃ
内容:ご主人様に恋した猫の話
猫視点。「な」「ぬ」「の」はほぼ全て「にゃ」「にゅ」「にょ」に変換されている意欲?作
一途な想いと伝わらないもどかしさは片思いの醍醐味そのものなのに、切ないよりもニヤニヤが勝ってしまうこの感じ、いい。にゃんこカワイイ。カワイイは正義。
「片目」と関係ないがこれが一番好き。