いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。3」藤まる(電撃文庫)

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (3) (電撃文庫)
明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (3) (電撃文庫)

『おまえの寿命の残り全てで彼女を生き返らせてやろうか?』
雰囲気ヤンキー・秋月の体を一日おきに乗っ取る美少女・光。彼女とのとのハチャメチャなニ心同体生活に最大の危機が!
交換日記以外では会話すらできない光に恋した秋月が迫られる究極の選択――。徐々に寿命が減りつつある光を救うべく、秋月は立ち上がるのだが……。
そんなある日、手掛かりを探る秋月のもとに、彼らと同じく“二つの心が同居する仲間”だと名乗る人物からのメールが舞い込む……。いつでも背中合わせだったニ人が下す決断とは――!?
「ぼっちな俺」と「残念な彼女」」による人格乗っ取られ青春コメディ、第3弾!


一日おきに入れ替わる二人が同じ境遇の二人に出会い自分たちの未来を考える、シリーズ最終巻。
その同じ境遇の二人の片割れ隼人くん、それはもうハイテンションで光が二倍になったよう。賑やかで楽しいけど、正直ちょっとうざいw
なんて思うのは初めのうちだけだった。今回は全力で青春で思いっきりシリアス。
秋月と光より、よっぽど辛い経験をしてきた千秋と隼人の関係と、隼人の努力を見た二人の出す結論は……まあ、そうだよね。全然性格の違う二人だけど根が優しいのだけは一緒だもの。
その優しさが最後の最後まで何度も涙を呼ぶ。
CUT5(5章)のラストだけでも光らしからぬおちゃらけなしの真摯な言葉と秋月の必死さに涙腺を刺激されたのに、CUT6の今度は光らしい存在の残し方と最初で最後の秋月の涙に貰い泣き必至。
シリアスも良いじゃないか。コメディこそこのシリーズの真骨頂だと思っていたけど、最後にして逆転した。
最後がかなり駆け足で、思い出作りが読者の思い出には全く残らないのが残念なところだが、伏線はきっちり回収されているし、二人の優しさが出た沁みるエピローグは素晴らしい余韻を残す。良い青春ストーリーでした。
次回作に向けてすでにスタートしているようで。コメディもシリアスも良いので次回作も期待。