いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (8) 」渡航(ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (8) (ガガガ文庫)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。8 (ガガガ文庫 わ 3-13)

後味の悪さを残した修学旅行を終え、日常に戻った奉仕部。そんな折、奉仕部に生徒会長選挙に関わる依頼が持ち込まれる。お互いのやり方を認められないまま、奉仕部の三人はそれぞれが別のやり方で依頼に対することに。分かっていた。この関係はいつまでも続かないことも、自分が変わることができないことも。「君のやり方では、本当に助けたい誰かに出会ったとき、助けることができないよ」その行動は誰のために……。それでも自分のやり方を貫き、もがこうとする“彼”は、大きな失敗を犯してしまう――。


修学旅行で最上級の自己犠牲によって依頼を完遂した八幡に待っていたのは、一緒に傷ついてしまった雪乃と結衣との微妙な距離感と修復困難な溝。そんな中に持ち込まれる生徒会長選の妙な依頼。


重い、空気が。


いや、分かってたけど。覚悟してたけど。
大変下品な例えで申し訳ないのだが、「便秘」みたいな回だったなと。出なくて詰まって辛いのを我慢する期間が長く、やっと出た これでスッキリ!……かと思いきや未だ残る残糞感。おう、もう……
人を理解することの難しさ、不可能さが凝縮されたような話ばかりで気が滅入る。葉山のらしくない行動にしても、男気は感じても八幡を理解しているわけではない、相容れない感じがひしひしと伝わってくる。
でも、葉山が八幡のことを同情などではなく心配しているのは確かで。サイゼでの作戦会議もそうだけど、八幡はこれだけ味方がいることに気付いているのかな? 
作戦会議と言えば、八幡が誰かを頼るという行動に出てくれたのは前進かな。その相手が雪乃・結衣じゃないのが悲しいが。まあ、今回は状況的に二人には相談できないのだけど。
さて、そのお相手の二人は……目立ってないな。ああ。今回はほぼ別行動だったからか。おかげでラブコメ感ゼロ。間違っているからね、仕方ないね。その代りに目立っていたのが雪乃姉・陽乃さん。その笑顔、怖すぎです。もうある種のホラーですよ。彼女相手なら貞子も裸足で逃げ出すね。
そして、小町。こんな出来た妹がいていいのか? とても中学生とは思えない精神年齢の高さ。この兄を持ってしまったからなのか、苦労が偲ばれます。
おまけでめぐり先輩。どうにも変な依頼だと思ったらそんな理由かい。この人は天然で八幡を、奉仕部を谷底に突き落すね。怖い怖い。
表面上は元に戻ったものの、心にしこりを残したまま冬休みへ。今後三人の関係はどうなる? 正直あまり明るい未来が見えない。