いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ベン・トー11 サバの味噌煮弁当【極み】290円」アサウラ(スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 11 サバの味噌煮弁当【極み】290円 (スーパーダッシュ文庫)
ベン・トー 11 サバの味噌煮弁当【極み】290円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

半額弁当バトルに青春を賭ける佐藤洋は魔導士に拒絶され、涙する槍水を見て以来、HP同好会の部室へ向かう足が遠のいていた。そしてその夜を境に佐藤、槍水共に弁当の奪取率が急激に落ち込んでしまう。この状況を変えるために、白粉は一人魔導士へ戦いを挑むのだが…。そして悩める佐藤が狼として、男として槍水に告げた決意とは…? 「最強」の称号と【極み】と名付けられた弁当を手にするため、今、狼たちが集結する! 半額弁当をめぐる青春シリアスギャグ・アクション、史上最大の特盛りで贈るクライマックス!!

近いだろうとは予想していたが、本当にクライマックスだとは。
とんでもない熱量だった。とんでもない文字数だったw
毎回ページ数を気にしている割には脱線が多すぎなのが原因だって。でも、これがないとベン・トーじゃないけどね。弁当に付け合せが必須なのと同じ……たぶん。それに、そのおかげで勇者・石岡の栄光を拝めるわけだし。しかし、まさか最後の最後にあんな事実が待っていようとは……。《変質者》て。ピッタリすぎるわ!www
そんなコミカルな脱線を挿みつつも、全体的にはクライマックスに相応しいシリアスなムード。
魔導師・金城との対決の前に、着々と積み重ねられていく背負うものと、それに合わせてこじれる人間関係。ライバルたちとの特訓。そのどれもが胸を熱くし、決戦への期待を高めていく。
中でも最も熱くしてくれたのが白粉。最強を前にしても一歩も引かないその雄姿。いつもはネタ要因の彼女の本気、見せてもらいました。情がメインのラストバトルより、能力と駆け引きのアクションとしての面白さはこちらが上。
そして迎える魔導師と言うより魔王と言うべき金城との対決。
半額弁当争奪戦。いつもはそれに気づくとそのくだらなさに負けた気分になるが、今回はそれを超越した。友情と愛とプライドをかけたラストに相応しい壮絶なバトルにただただ感動。バカなことを本気でやる格好良さがここに極まった。
そして……
「なん……だと……?」
クライマックスだったことにも、少年誌然としたぼかした終わり方にも驚かなかったが、このルートは驚きだ。
ここ数巻で着々と立ててきた著莪フラグを見事にへし折り、この巻ではまるで嫁ポディションだった白梅様を引き立て役にしてしまうなんて。メインヒロインは格が違ったということか。まあ、最終巻で元の状態に戻ってそうな気がしなくもないがw
そんなわけで次が最終巻。溜まっている短編を載せるのがメインだろうけど、後日談もあるはず。語られなかった金城のその後とか知りたいことは色々あるので、何が語られるか楽しみ。