いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。? ―Time to Play― 〈上〉」時雨沢恵一(電撃文庫)

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫)
男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫)

僕は高校生にして電撃文庫で作家デビューを果たした。執筆のため1年間休業した後、転校した高校で出会った彼女・似鳥絵里は新人声優で――僕の作品のアニメの出演者だった。
僕らは、学園内で自分の仕事を秘密にしているけれど、似鳥はクラスの人気者、僕は一人ぼっち……。そんな僕らが会話を交わす唯一のチャンスは毎週木曜日、アニメのアフレコに向かう特急列車で、隣の席に乗り合わせる時だけ――。
よりよい演技のためにと、彼女からの昨夏業についての質問に答えていくうちに――どうしてこうなった?
これは、僕が、やがて意識を失うまでの、走馬灯のような、お話。


首を絞められている。って比喩じゃなくて本当だったのか!
という気になるオープニングの答え合わせは下巻の最後になるだろうから置いといて、
このくっそ長いタイトルとあらすじから、まあ基本はラブコメだろう、でも時雨沢先生のことだからそんなストレートなものは出してこないだろうと予想していたら、全く別物が出てきた。
高校生ライトノベル作家が声優の卵のインタビューに答える形で進む、物語を書き上げるまでの一つの道筋と、原稿が小説という商品になるまでの過程を丁寧につづった作品だった。この作品で使われている言葉を借りるなら“作家志望者”および“作家志望者志望者”に向けた本。
その道に興味が無くても、知的好奇心はある程度満たされるし、各所に散りばめられている作家あるあるネタ(自虐ネタ含む)が面白いので十分に楽しめる。
しかしこの主人公、このあきらかな詰め込み過ぎ設定をずぶの素人の状態から一冊書ききったのか。末恐ろしいな。
今のところ二人の関係は平和そのもの。ここから首を絞められることになるまでの経緯と真意が分かる(多分)下巻は二ヶ月後。待ち遠しい。