いつも月夜に本と酒

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「リーガル・ファンタジー1 勇者弾劾裁判」羽田遼亮(ファミ通文庫)

リーガル・ファンタジー 1 勇者弾劾裁判 (ファミ通文庫)
リーガル・ファンタジー 1 勇者弾劾裁判 (ファミ通文庫)

勇者の功績により聖魔戦争が終結して300年。正義の弁護士を目指す少女フィオナは名門法律事務所の門を叩くも、守銭奴である所長への反感から、事務所を鞍替えすることに。だが、法廷デビュー戦で対するはかつての師スミオ・マリアヘル、その人だった! 彼女は敗れ、結局はスミオの元でこき使われることに……。そんなある日、事務所に持ち込まれた依頼は――アノ勇者の弁護!? 駆け出し弁護士と最強の『法廷の魔女』が挑む裁判ファンタジー、ここに開廷!!


武器は言葉。ファンタジーなのに剣なし魔法なし、真面目に裁判/法廷を扱った物語。
裁判ファンタジーと言いつつ勇者なんかも出てくるから戦うんだろうと思ったら、ガチで弁論での勝負でビックリ。
裁判を題材にした物語らしく人情ものの人間ドラマになっているし、クソ真面目な新米と、性格に難ありの腕利き弁護士のコンビもいい感じ。それにオールドタイプのRPGのお約束、所謂勇者行為も断罪する姿勢も面白い(若干ネタがくどいが)。
と、大枠では大賞でもいいんじゃないかという作品なのだが、文章が残念。
法廷を意識してか使われている単語は硬いのにも関わらず、口調がやけにフランクなのもバランスが悪くて気になる点だが、最大の問題は、
一つの文章でもストーリー展開でも、倒置法を使い過ぎて読みにくく理解しにくいこと。
特に悪いのは展開の方。隠したい出来事を安易に時系列をひっくり返して隠しているだけ。不自然な上に場面が飛び飛びになって流れも悪い。まともな伏線があるところも少ないので、ただのご都合主義にしか感じないところもある。本格ミステリのようにとまでは言わなくても、もう少し順番を変えずに上手く文章で隠せなかったのかなと。
コンセプトはかなり好み。大筋の人間ドラマも良かった。でも、それを表現する文章力が足りなかったという印象。