いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「夏の終わりとリセット彼女」境田吉孝(ガガガ文庫)

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)
夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫 さ 7-1)

「あなたは、私が一番嫌いなタイプの人間だと思います」 ――夏休み。桜間さんが事故で記憶を失った。桜間さんといえば、完全無欠の「正義の人」にして、クラスの誰もが認める超美人。そしてなんの間違いか、僕、峰康の“カノジョ”でもある。“カレシ”がいたことすら忘れている桜間さんと、僕は二度目のボーイミーツガールを果たすのだけど……全力で嫌われてしまい!? 夏の終わり、リセットされた関係が、もう一度動き出す――。 小学館ライトノベル大賞にて優秀賞を受賞、等身大の青春グラフィティ!


劣等感や将来への漠然とした不安という誰でも感じるものを人より強く感じている彼氏と、記憶喪失になってしまった曲がったことが大嫌いな彼女のぎこちない恋愛模様
全くそりが合わない二人がどうして付き合っていたのか、話が進むと記憶喪失になる前の彼女が最も嫌いなタイプであるはずの彼氏にどうして告白したのか、という謎が話の軸……だと思って読んでいたんだけど、違ったのかな? その謎はごくごく普通のきっかけで、尚且つあっさりと他人の口からネタバレされてしまうので拍子抜け。これだと彼女が記憶喪失になった意味が特に無いような。それに彼氏も最後の最後まで自発的に何かをするってことがなかったし、なんだかなあ。
結局「こういった不安は誰でも持っているものだからから安心して」的なことを書きたかったのだろうか? 
それより気になったのが、彼の不安や苛立ちが募る場面に必ず登場するクラスメイト達の存在。小さな悪意が集まって大きな悪意になっているような集団の怖さを感じる。かなり雰囲気が悪くて、ほんのちょっとのバランスの崩れで即イジメが起こりそうなクラス。二人の件を含めて担任の木田ちゃん、無能。
あらすじでいうところの「等身大の青春」は少し感じたが、何を一番書きたかった/伝えたかったのか分からず、これといって目を見張るものもなかった。