いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「デスニードラウンド ラウンド3」アサウラ(オーバーラップ文庫)

デスニードラウンド ラウンド3 (オーバーラップ文庫)
デスニードラウンド ラウンド3 (オーバーラップ文庫)

ある日、組合から松倉チームに「ヤバイ裏の仕事」の依頼が入る。尋常ではない高額なギャラのその仕事とは、DNR(デスニードラウンド)というテーマパークの潜入調査だった。
入園チケットを用意されたユリたちは一般客と同じようにDNRを満喫し、日暮れとともに招待を受けたレストランに足を運ぶ。そこは、分厚い防弾ガラス越しに美しい電飾に彩られたパレードを眺めることができる、秘密の会員制クラブだった。窓の外にはやがて幸福な音楽と笑顔に包まれて、人気マスコットキャラクターたちが登場する。
「夢と希望の国、DNRへようこそ!」
深夜のテーマパークで命を懸けたサバイバルゲームが、ついに始まる…!

三部作の最終巻。



くっそ下種い。ゆえに面白い。
デスニードラウンド。絶望と狂気に彩られた夢と希望の国で行われるパレードの本質は、強者が弱者の尊厳を踏みにじる悪趣味の極みだった。その標的にされたユリへの仕打ちに、とことんまでフラストレーションを溜め、気分はどん底まで付き落とされる。
そう、そこからの逆転だからこそ面白い。
しかも、お祭り騒ぎにしてしまったものだから、もう準備段階から愉快なことに。
一声召集を掛けたら出るわ出るわ、松倉さんのゆかいな仲間たち。松倉チームのメンバーと同等、もしくはそれ以上にクレイジーで愉快な人達が何十人も集まって近況報告しあう様子はまさにカオス。……って、おい。某絵師さん混じってるじゃねーかw ポピュラーな苗字の人ならいいけど、苗字だけで特定できちゃう人はちょっと。ある意味危険な作品なんだから巻き込んじゃいかんでしょ。
まあ、業界最凶タブー・夢の国ネタでもここまで突き抜けてしまえば、元ネタの面影がかなり薄れているから逆に大丈夫な気もするけど。40ページ付近のキャラクター紹介が一番笑った。
迎えた本番は、銃弾数も装備もこれまでのスケールを遥かに超えたド迫力ド派手アクション。まさか武装○○まで出てくるとは。報復というより蹂躙?
何はともあれ、ユリや仲間たちの状態も読者の気分も最底辺からの全力全開の報復劇。それがこのどんちゃん騒ぎなら申し分なし。あー、スッキリした。
おバカな設定を本気でやり、思いっきり趣味にも走った何でもありのごった煮みたいな作品。最高に面白かった。これで終わりなのは寂しいけれど、ここ以上のケンカの売り先がいないからしかたないかw