いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ドウルマスターズ」佐島勤(電撃文庫)

ドウルマスターズ (1) (電撃文庫)
ドウルマスターズ (1) (電撃文庫)

――『ドウル』。
それは、パイロットの『超能力』を拡張させ、物理的な戦闘力へと変換する人型機動兵器である。
新米ドウルマスター・早乙女蒼生は地球の貧しい都市機構『オートン』に所属し、姉の朱理と共に横浜ポリス軍と交戦していた。
強力な敵機体から最期の一撃を喰らいかけたその時、蒼生の類い希なるサイキック能力が覚醒、『エクサー』として目覚める。
それを契機に、ドウルの最強最新鋭部隊『ソフィア』へ入隊を果たした蒼生は、宇宙(そら)へと向かう。
そこでは、純白の専用機『ミスティムーン』を駆るエリートドウルマスター・玲音との運命の出会いが待っていた――。
壮大な近未来宇宙を舞台に、少年と少女の『世界』を賭けた闘いが、今始まる。

これは……アニメ向きの作品ですね!
これなら細かい説明がなくてもロボットが戦う姿を描けば理解できるし、何より絵的に映える。
刊行予定を組む時期からして有り得ないのだが、内容が内容なだけに出来が大変悪いアニメ劣等生に対する作者、いや電撃文庫編集部からの当てつけかと思ってしまった。
そんなわけで本作は、『魔法科高校の劣等生』の佐島勤氏によるロボットもの。
それはもう予想どおりというか何というか、世界観もロボットも緻密に作り込まれた設定に、圧倒的な説明量。「これぞ『魔法科高校の劣等生』の作者!」という作品だった。「1巻」というのも大きい。どのシーンも舞台紹介、キャラクター紹介の側面が含まれているので、どうしても説明量が多くなる。
大まかなイメージとしては、ラムダドライバ搭載のAS(フルメタ)で初期のガンダムをやっているようなイメージで読んだ。前者はドウル(ロボット)の操作性、後者は人類の置かれた環境とキャラクターの関係性が近い様に思う。
特に分かりやすいライバル関係が構築されそうな蒼生と龍一の対決に期待。



本作でまだ二作目だが、
差別意識や劣等感をパワーに変えたり、怒りをスイッチにするのが好きなんだろうか。どちらも誰しも持っているもので共感や感情移入しやすいのが良い。ただ、時々それが行き過ぎて優越感を嫌悪しているような、上から見ることに対して変に潔癖すぎるような気がしないでもない。