いつも月夜に本と酒

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「グラウスタンディア皇国物語3」内堀優一(HJ文庫)

グラウスタンディア皇国物語3 (HJ文庫)
グラウスタンディア皇国物語3 (HJ文庫)

陸路と海路の両面から、30万という未曾有の軍勢で皇都陥落を狙う大国リジア。その目論見を早々に看破した皇国の軍師クロムは、あらゆる策を講じて相手の兵力を着実に削っていく。一方、皇女ユースティナは皇族が背負いし精霊神シオンを契機に世界の秘密の一端に触れてしまい!?
大国随一の智将と皇国最強の軍師が刃を交える皇都防衛戦、最高潮!!


攻めるリジア軍30万に対し、守るグラウスタンディア軍は15万。圧倒的な戦力差をひっくり返すクロムの知略が冴え渡る皇都防衛戦、決着編。
戦略性よりもクロムやガジェルの個の力が目立っていたこれまでの戦いに対し、本格的な戦争となった今回は軍対軍の戦況を重視した描写になっている。
その中で次々と繰り出されるクロムの奇策の数々。その奇抜さもさることながらどの作戦にもしっかりと理屈が合って感心する。
ただ、その反面全てがうまく運び過ぎていて盛り上がりは少ない。
初めから相手軍師が気付くことを前提に作戦を立てるなんてわざわざ宣言しないで、相手に作戦を読まれてるかもしれないというハラハラした感じを読者に与えた方が、逆転勝ちみたいで盛り上がったのではなかろうか。実は時々描写されるファンタジー要素の方が主題だった?
時々と言えば、時折挟まるコメディが緩急の激しさも合わさって非常に面白い。デレ姫様とか102連隊のオッサンたちとか。それに爺さんも。惜しい人を……爺さん秘蔵の発禁エ○本は無事クロムの手に渡ったのだろうか?この巻一番の気掛かりだ。
次は攻勢に出るようで。断章で語られている第三国がどう絡んでくるかが気になるところ。