いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「親友の彼女を好きになった向井弘凪の、罪と罰。」野村美月(ダッシュエックス文庫)

親友の彼女を好きになった向井弘凪の、罪と罰。 (ダッシュエックス文庫)
親友の彼女を好きになった向井弘凪の、罪と罰。 (ダッシュエックス文庫)

「弘凪!オレ、彼女ができた」
親友の相羽遙平から打ち明けられた、高校一年生の向井弘凪。女の子にモテまくっても、特定の彼女を作らなかった遥平が誰かとつきあうのは、あまりに意外だった。
遥平が彼女を作らないのは、中学生二年生のときのあの事件のせいではないかと、弘凪は責任を感じていた。そして、弘凪自身も女の子に好意を持つのを避けてきた。
ちょうど弘凪には気になる女の子がいた。通学電車でよく出会うスケッチブックを抱えた名前も知らない女の子。
遥平に彼女ができたらなと、弘凪はその子に勇気を出して話しかけてみようとするが―。


高校生の三角関係な恋愛模様を描いたストレートなラブストーリー。
タイトルどおりの人間関係で甘さや切なさよりもほろ苦さが強い。でも、そこが良かった。主人公・弘凪の苦悩も彼女・古都の葛藤も、まさに青春だった。こんな全く奇をてらわないストーリーで読ませるのは流石の筆力。
最近の野村作品には、なよなよしているか自分勝手なお坊ちゃんタイプの男キャラばかりで好きになれない、楽しみ切れない作品が多かったのだけど、本作の弘凪は引っ込み思案ではあるものの、愚直なまでの誠実さと、ここぞでの行動力があって素直に応援したくなるキャラクターだったのが良かった。
その親友・遥平はアレだったけど。
自らの告白ではなんとなく許された風になっているけど、親友の口から語られる過去の所業を客観的に見ると普通にクズだよね、こいつ。という事で、全力でやらせていただきます。
m9(^Д^)プギャー あースッキリしたw
まあ、彼のおかげで二人の今後を素直に祝福できるんで、必要な存在だけれども。
文句なしに青春を味わえた一冊。コメディが入るとどうも苦手だが、やっぱりシリアスの野村美月は最高だ。