いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「クズと金貨のクオリディア」さがら総、渡航(Speakeasy) (ダッシュエックス文庫)

クズと金貨のクオリディア (ダッシュエックス文庫)
クズと金貨のクオリディア (ダッシュエックス文庫)

底辺高校生・久佐丘晴磨と、天使のような後輩・千種夜羽。同じ階層にいられるはずのなかった二人は、とある偶然をきっかけに接近してしまう。
異常気象、異常現象、異常行動……少しずつ歯車が狂いだしていく二人の日常と奇妙な都市伝説。曰く「ランダム十字路」――真夜中、突き当たったT字路で誤った道を選ぶと、二度と帰ってこられない。行方不明の女子をなりゆきで一緒に追うなか、晴磨と夜羽の思惑は大きくすれ違い…!?
レーベルを越えて広がる新世代プロジェクト第一弾!
これはふたつの視点から紡がれる、終わりゆく世界とめくるめく青春の物語――。


八幡さんちーっす。え?別人? まあ八幡なら美人かどうか関係なく、いや性格も関係なくまずは逃げるか。
そんなわけで、『俺ガイル』の渡航氏と『変猫』のさがら総氏による、性格にかなり難がある少年と少女、それぞれの視点で綴られるリレー形式小説。作品を一度でも読んだことがあれば、どちらがどちらを書いているか一目瞭然なほど、両氏の個性がよく出ている。
むしろ個性が発揮され過ぎていて、語られるのは同じ出来事のはずなのに話が全く噛み合わないところが面白いところ。視点が変わればこんなに見える世界が違うのか……とか、そんな生易しい問題じゃないよね。少女・夜羽の方の性格が破綻していて、軽くサイコホラーじゃないか。この二人のコンビならストレートではないにしても絶対ラブコメが出てくるものだと思ったら、ホラーが出て来てビックリだよ。一応、最後に申し訳程度のラブ要素もあったけれども。
先生方には失礼ながら、散歩コースから積極的に脱線しようとするさがら犬と、ぶつくさ文句を言いながらリードを引っ張る飼い主わたりんという構図が思い浮かんだ。
サイコホラーがオカルトホラーにジョブチェンジしそうな予感、というところで今回は終了。あ、読みきりじゃないんだ。
「プロジェクト・クオリディア」という名前で色々展開していくようなので、今後の動向に注目。