いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「海の上の博物館」行田尚希(メディアワークス文庫)

海の上の博物館 (メディアワークス文庫)
海の上の博物館 (メディアワークス文庫)

瀬戸内海に浮かぶ小さな島に建つ、茅埜辺市立博物館。遠くから見る光景は、まるで海に浮かんでいるかのよう。
美しい自然に囲まれたその博物館では、個性豊かな学芸員たちが日々、懸命に働いている。
そして訪れる客たちも、いわくつきの人ばかり。そんな素敵(?)な環境の中、臨時職員として働きはじめたばかりの新人女子・若菜は、悪戦苦闘しながらも、笑顔を忘れず、成長していく。
憧れていた「博物館の学芸員」って、けっこう大変な仕事なんだなぁ〜〜〜!


学芸員を目指す博物館の新米臨時職員ワカメちゃん若菜の物語。
身体は小さいけれどパワフルで、良くも悪くも真っ直ぐで分かりやすい人柄な若菜が所狭しと動き回る姿に、読んでいて晴れやかな気持ちになれるのが最大の特長。
また、田舎町にある博物館ということで、起こる事件はみんな地域密着。当然、地域の人との触れ合いがメインで、帯の「ハートウォーミングな物語」の文句に偽りなしのほっこりするエピソードばかり。
先輩たちや地域の年配の方々との交流で成長していく若菜。逆に彼女のお節介のおかげで明るくなっていく高校生や小学生。多くの人間ドラマがあるのは、活動的な主人公ならでは。
ただ、あまりに地域密着なので下町のお店に就職した新人さんといった体で、博物館という感じはあまりしない。それに、海の上というロケーションが生きるているのが表紙だけというのも、ちょっともったいない気が。
「海の上の博物館」の話を読んだ気はしなかったけど、心温まるいい話ではあった。