いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「フルメタル・パニック! アナザー10」大黒尚人(富士見ファンタジア文庫)

フルメタル・パニック! アナザー (10) (富士見ファンタジア文庫)
フルメタル・パニック! アナザー (10) (富士見ファンタジア文庫)

カエサル・プロジェクト』を追い、たどりついたガルナスタンの決戦で、市之瀬達哉たち新生D.O.M.S.は完膚無きまでの敗北を喫する。絶望的な状況で、荒野に取り残された達哉と菊乃は、満身創痍の〈ブレイズ・レイヴン〉改と〈イージス・レイヴン〉を駆って、決死の脱出行に挑む。その行程の中で菊乃は人を殺めることを是とする彼の様子に戸惑いを隠せなかった。
その一方、辛うじてクルディスタンへの撤退に成功したクララやユースフ、そして捕らわれのアデリーナに、狂気に溺れたオルカンの新たなる魔手が迫り来る――
一気呵成のSFミリタリーアクション、激闘交錯!!


ベヘモス再臨!
まさかあの巨体もう一度拝むことになるとは。
それ以上にまさかクララが活躍する時が来るとは。シリーズ序盤なら活躍の場があってもおかしくなかったけど、戦争になった今になってというのは予想外。宗介が肉薄して泥臭く成し遂げた仕事を、遠距離からサラッとやり遂げる。クルツの血、しっかり見せてもらいました。
また、ここでもう一つ印象的なのが下村大佐とベヘモスの因縁。溝呂木の男気ある台詞と下村の涙、おっさんたちのドラマに胸が熱くなる。
その他にも達哉と菊乃の逃亡戦や、相変わらず匂わすだけで焦らす各陣営の思惑など、大きな戦いの間の回としては読み応えのある巻だったのだが……最後はなんだこれ。
このリーナ救出劇が今回のクライマックスでハイライト。なんだよね? 
頼んでもいないのに向こうから連れて来てくれて(そもそも達哉たちはリーナの生存も知らなかった)、勝手に負けていったオルカン君は何をしたかったの? それまで逃亡戦に比べると戦闘はかなりしょっぱく、その後にラブコメをする余裕まである。鴨がネギ背負ってやってきた感しかしないんだけど。結局、お坊ちゃんはお坊ちゃんだったということか。まあ、次の死線を三人で潜り抜ける為の準備だったと割り切ろう。