いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「さびしがりやのロリフェラトゥ」さがら総(ガガガ文庫)

さびしがりやのロリフェラトゥ (ガガガ文庫)
さびしがりやのロリフェラトゥ (ガガガ文庫 さ 9-1)

ぼくらの学校には、世にも奇妙な吸血姫が住んでいる。悩める女子高生、常盤桃香は深夜の旧校舎で怪異と出会うが――「おんし、無礼である。如何なる理由でここを訪れるか」「おでんを作ったので」「……おでん?」――ビッチ系いじめっ子、犬ころ系ロボ子、そして“正義の味方の敵”のぼく。これは、孤独な吸血姫と普通じゃないぼくらが紡ぐ、青春の協奏曲である――「い、いじわるはやめるのであるからしてー!」……いや、道化曲かな。たぶん。 『変態王子と笑わない猫。』のさがら総が挑む、新機軸の黄昏ロリポップ


人間と吸血鬼と宇宙ロボットが織りなす青春群像劇。
主観が変わるとここまで印象が変わるものなのか!というのをやりたかったのだろう。あとがきにそのようなことが書いてあったし、実際そう感じることもあったことはあったのだけど、、、
作家・桃香ちゃんの思考がぶっ飛び過ぎていて、全部そこに持ってかれてるから失敗だろね(^^;
人間の桃香の変態度が突出していて、他の話が吸血鬼視点だろうと宇宙ロボット視点だろうと普通に感じてしまう。これだと怖いのは吸血鬼や宇宙ロボットじゃない、人間だ。という結論になるのだが。そうすると、救いがあるようにみえるエピローグは、バッドエンドの駄目押し。むしろホラー……ひえー。
どこか神秘的で、鬱屈した精神や心の澱を強く感じさせるダークな雰囲気作りと、それを踏み倒していく圧倒的な個性を放つキャラクターは、流石は『変猫』作者といったところ。
但し、かなりクセの強い雰囲気小説なので、好みがはっきり分かれそう。