いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「出雲新聞編集局日報 かみさま新聞、増刷中。」霧友正規(富士見L文庫)

出雲新聞編集局日報 かみさま新聞、増刷中。 (富士見L文庫)
出雲新聞編集局日報 かみさま新聞、増刷中。 (富士見L文庫)

八百万の神々が集う町、出雲にある小さな新聞社――出雲新聞編集局の仕事は、神様向けの地方紙“かみさま新聞”を発行すること。新人記者の悠馬は、就職早々その記事制作を任せられてしまった!編集局でのんびり空気を醸す、無骨で天然な先輩の恭平と、ふてぶてしくデスクを占拠する猫神様“にゃんこ局長”の無茶ぶりで、悠馬は悩みを持つ人々を助ける神様たちの様子を取材していく。巡りあうのは厄介事か、はたまた出雲の神様と人々の優しさか――。神様たちに振り回される新聞記者ライフ、はじまります!


優しそうな第一印象とは裏腹に猪突猛進型で物語をどんどん動かしてくれる主人公。謎多き先輩とにゃんこ局長が作り出すのんびりとした雰囲気。地域密着で人の機微に触れる各話の話題/問題。そのどれもが自分好みだった。
また、期待していた神様要素は『神様』という記号としての意味しかなく、具体的な神の名前が全然出てこないのは不満だったが、逆に特に気にしていなかった新聞社の要素、流石に大手新聞社の現場ような修羅場はないものの、新聞作りのちょっとした知識や苦労などにリアリティがあって楽しめた。
そんな感じで「これは面白い。当たりだ」と思って読んでいたんですけどね、、、第三号(第三話)までは。
第四号で突然始まるしょっぱいアクションに茫然。
「ケガレ」までは理解できる。第三号に伏線もあったし。でも戦いだす意味は? ビーストモードって何だよ。ライトノベルレーベルで出すならゴリ押しのアクション要素も仕方ないかと苦笑いしながら読めるけど、富士見L文庫って一応は一般文芸の枠のつもりじゃなかったのか。
それに輪をかけて酷いのがエピローグ。
プロローグに重ねてあるのだけど、主人公の心情や人間関係に変化があって初めて意味のある書き方で、大きな変化が無いのにこれをやったら単なるコピペ。手抜きとしか思えない。
第三号までと第四号以降がまるで別作品。そして、残念ながら後半が悪いと作品全体の印象が悪くなる。