いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ファング・オブ・アンダードッグ3 沈没の空」アサウラ(ダッシュエックス文庫)

ファング・オブ・アンダードッグ 3 沈没の空 (ダッシュエックス文庫)
ファング・オブ・アンダードッグ3 沈没の空 (ダッシュエックス文庫)

世界を巡る任務の合間に湖畔の村ヤン・バーミを訪れたアルクとユニ。そこはソラの故郷であり、紫苑という、彼と結婚の約束をした女性がいた。最近二人の文通が滞っていることから代わりに様子を見に来たのだが、そこでアルク達は思わぬ事実を知ってしまう。一方、総本山では罌粟が「睡眠期」に入り、その時をはかったかのように謎の巨大飛翔体、八体が現れ、総本山を包囲する。イリスの指揮の下、陣士総動員で撃破に向かうことになり、アルク達もその最前線へ赴くのだが、リベルテンの手は総本山内部にすら深く入り込んでいて――!?
陣士として、友として、アルクは極限の空中戦に挑む!無頼派和風バトルアクション第3幕!


旬じゃないこの時期にオープニングで生牡蠣という暴挙。なんてことをしてくれるんだ。アサウラ先生のヒトデナシ!w


まあ、それはそうと、
今回は問答無用でソラの回。
戦闘力はないが自分の仕事を確実にこなす職人であり、よく悩むアルクに助言をくれる陣士の先輩でも人生の先輩でもあり、本当は若いのにどこか哀愁漂うおっさんキャラの雰囲気があったソラ。男性キャラクターでは一番好きなキャラだ。
それが文句なしのNo.1に上り詰めた。……そして散っていった。表紙はそういうシーンだったのか。
それはもう圧倒的に格好良かった。散り際はとても綺麗でメインのバトルをおまけにしてしまった程だ。でも、この遣り切れない想いはどこにぶつければいいんだ。
ソラの生い立ちや背景の遣る瀬無さが彼の行動の格好良さを引き立たせているは分かっている。それでも彼の一番の願いは適ったのに、誰もが涙の結末になってしまったことが辛い。結果的にソラを裏切る形になってしまった幼馴染みたちもいい奴らなのがまた辛い。くそっ、あの糞婆があっさり逝かずにもっと苦しんでくれれば、少しは溜飲が下がったのに(暴言)
そして、大事を成し遂げたのに達成感などまるでなく、泣くことしかできなかったアルクの姿がトドメだ。うるっと来るとかそういうレベルじゃない。久しぶりのガチ泣きだった。
シリーズではもちろん、作者の過去作を入れても最も心を揺さぶられる最高の一冊。それでいて読後感は最高に悪い。最後にメインヒロインがお茶目な姿を披露してくれたのが救い……にはならないなあ。この流れだと次でアルクと円の決着がついてしまいそうで怖い。