いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「王女コクランと願いの悪魔 II」入江君人(富士見L文庫)

王女コクランと願いの悪魔 (2) (富士見L文庫)
王女コクランと願いの悪魔 (2) (富士見L文庫)

「君が好きだ。コクラン。……愛しているんだ」
悠久の時を彷徨い続けた悪魔と、孤独の運命を受け入れ続けた王女。奇跡によって逃れられぬ虚無から解き放たれたレクスとコクランは、あらためて出逢った。
しかしレクスは捕らえられ、コクランの知らぬ間に後宮から追放されてしまう。離ればなれになっても、三度出逢おうとする二人。それを阻むのは、どこまでも深い後宮の闇と、初めて知る後宮の外の世界だった――。
「めでたし、めでたし」のその先に、真の恋物語は始まる。


まさかの続刊。
あのハッピーエンドのまま続いて人間になったレクスとコクランの立場を考えれば、まあこうなるよね。予想通りに離ればなれになってしまった二人は、互いに会う方法を模索する。


1巻がお互いを騙し合う緊張感のある駆け引きから始り、そこから段々甘さが入っていく二人の会話が一番の魅力だったので、二人が一緒に居ない以上、1巻と同様の面白さを期待するのはお門違いだと分かっていたが……それでも自分の中の期待値が上がりすぎてしまったのかな。
二人とも、特にレクスが変わってしまった自分に戸惑うばかりで、なかなか持ち前の聡明さを発揮してくれないので、ヤキモキする展開が続き、ようやくやる気を出し始めたなと思ったところであっさり終わってしまったので、もの凄い消化不良。
そんな中で、二人状況は全然違えど他人と交わるようになって、人らしくなっていくレクスと、レクスの残した微かな気配に縋らないと他人の中で立っていられないコクランの対比が印象的。コクランの必死さや一途さに可愛さを感じるよりも、その危うさに怖さを憶えるので不安感ばかりが煽られる。
でも、後宮に巣食う闇もそのままなら、レクスの決意も実行前。二人は会ったと言えるかどうか微妙と、色々と宙ぶらりんなので続刊ありきなんだろう。あとがきに「コクランの節目になる話」ともあるし。
王女さまを助ける王子さまの手腕に期待。